第3話 怪物と戦うには……
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ートしそうだったからパンターの代用として導入したのだけども、うちの戦術にはまったくあわなかった」
W号ラング(70V)は、主砲こそ強力なの70口径75mmだったが、長大な主砲と重くなった傾斜前面装甲のため極端なフロントヘビーであり、機動力は「移動が自力でできる対戦車砲」と考えてよい程度だ。さらにこの車両は無砲塔だ。そのために角谷にかく乱されたときに機敏に対応できず、むざむざ撃破されたものもいた。
結果からいえば、決勝戦におけるW号ラングの戦果は皆無だった。
この戦車は遮蔽物や身を隠すものが多い地形に自分で移動し、あとは敵が来るのを息を潜めて待つという、人間の兵士でいえば狙撃兵に当たる車両であり、機動戦を旨とする黒森峰のドクトリンとの相性は良くなかった。
「だから4両をパンターに置き換え、のこりのスタメン2両と偵察用V号1両は、U号L型ルクス(山猫)に更新したわ。
重駆逐戦車3両は売却して、ティーガーU2両を購入、残りの1両はあなたがかつて使っていたティーガーT『217号車』を復帰させるわ。マウスをフラッグにして、重戦車隊で周囲を囲み『動く城塞』にするの。
この『城塞』とパンターのみの高速打撃部隊、そして路上60km/hのルクスによる索敵部隊、これが黒森峰の「本気の」編成ということになるわね」
確かに決勝戦の敗北は、黒森峰の選手たちが、逸見も含めて大洗を舐めきっていたことも一因だろう。さらにみほが姉の立場と性格を利用してフラッグ同士の一騎討ちに持ち込んだ時点で、黒森峰は各個に分断され、相互の連携も不可能になっており、強豪が弱小に負けたという以前の「戦車の数と性能以外すべてにおいて負けていた」という無様な敗北を喫したと評されても仕方ないありさまとなってしまった。
その中にあって、この年初めて黒森峰が導入した「[号戦車マウス」は動力系の不安さえ克服できれば、戦車道ルール内の戦車が相手なら正面から撃破されることは決してない「掟破りの怪物」といっていい戦車だった。全国大会決勝戦でも撃破3両という最大戦果をあげている。逸見が単独1両、共同1両であり、残りの撃破はヤークトティーガーの相討ちと4両で追いかけ回したあげくの八九式だ。隊長のまほは戦果無しである。
もしマウスの車長が功を焦ってみほの罠にかからなければ、大洗戦車隊を文字通り殲滅したかもしれない。
その車体前面の傾斜200mm装甲を打ち抜くには、最低でも第二世代MBTの105mmL7A1砲が必要であり、戦車道の試合においてはみほが奇策を用いて実現した「40mmの上部装甲を撃つ」以外に撃破する途はない。
つまりそれが不可能な場所を選んで戦い続ける限り、橋でも渡らない限り倒される事はない。
どのみち188トンのこれが渡ることのできる橋などないが。
そのマウスを
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