第2話 ボタンの掛け違い
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るのだと。
さっそく複数の生徒が発言を求めて一斉に挙手してきた。
「副会長に質問します。
いまだに学園艦教育局は大洗女子を廃校対象にしているのですか?」
「いえ、現在廃校対象ではありません」
「ならなぜ本校のような、いわば平凡な学校が戦車道などと言う『金持ちの道楽』を続ける必要があるのでしょうか」
「戦車道を廃止すれば本校がなくなるという根拠は何ですか」
「現に本校の知名度が上がったからと言って、今年の受験者は増えていない。
例年と同じペースで微減しました」
優花里と戦車道履修者をのぞく生徒たちの我慢は、とっくに限度を超えていた。
我も我もと声を上げる彼女たち。
「夏の交流戦では、四強が本気を出せば、あなたがたご自慢の『腕と戦術』など通用しないと証明されたばかりではないですか。
次回の全国大会で大洗が優勝できる可能性はほぼないと専門筋も言っています。
今回の優勝の主因は、大洗の布陣を見た相手が遊び半分で戦ったからではないですか。
本気で戦われたら、質、量とも脆弱な大洗では勝ち目はありません」
優花里にもそれはわかっている。
ハードウェアの力量差について誰よりもくわしいのは、彼女自身なのだから。
だからこそ戦車を強化したい。四強並みと行かなくともこちらにはみほがいる。
「ですからそれは戦車さえ増強できれば! 四強の半分もあれば優勝できます。
優勝を続ければ志望者も増えます」
しかし、相手は今日のために戦車道側を「説得」する材料をかき集めてきている。
即座に、さらなる攻撃を加えてくる。
「ですからそれはあなたの主観ではないですか?
それに、戦車1両いくらすると思っているのですか?
生徒と授業料が倍でも追いつきません。その前にこの学校が『沈没』します」
「戦車道以外は何もできない学校という風評が立てば、志望者は激減する。
公立校だから本当に志望者が来ないと言うことはないだろうが、確実に生徒のレベルは落ちる。副会長はそうなってもかまわないと?」
いままで一方的に忍従を強いられてきた生徒たちの不満がすべて優花里に向けられた。
そして優花里の感情も沸点を超えてしまった。
「あなたたち、いったい何様のつもり!
だいたい大洗女子が廃校対象になったのだって、あなたたち一般生徒がふがいないから、だらしないから、何の成果も挙げてこられなかったから起きたことじゃない!
戦車道はそんなあなたたちにできないことをしてきたのよ!
それを何? 恩に着て応援するどころかなくしてしまえですって!
いったいどの口が――」
優花里は続きを言うことができなかった。
悲しい目をしたみほと、怒りに燃えた目の磯辺が両脇から彼女を取り押さえたからだ。
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