あきらめは愚か者の結論
第1話 伝説の終わり?
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い!」
そう宣告して優花里は予算案のファイルを担当者の机に叩き付けると、憤然として自分のデスクに戻った。
その日の放課後、華と優花里は会長室で二人だけで話し合っていた。
「優花里さん。会計委員たちが予算が組めないっていってきたわ」
「五十鈴殿、次年度だけのことであります。
この学園が二度と廃校の脅威にさらされないためにも、会長権限で押し切ってください」
だが、華は思う。今回は「会長の横暴」という伝家の宝刀を抜くことはできない。
華は2年半の長期にわたって会長を勤め上げた角谷のような信頼を得ていない。
その角谷は会長辞任の直前に、あんこうチームに「次年度戦車道を続けるかどうかは新執行部に一任する」と言っている。文化祭や体育祭まで中止せざるを得なかったことを考えれば、本年度と同じ形で続行するのは難しい。しかしそれについてはもう彼女たちに任せるべきことだ。
そう角谷は考えた。
そしてあんこうチームは卒業予定者以外の全履修者と面談して、とりあえず次年度も戦車道授業は継続するという方針を決めた。
とはいえそのための裏付けについては、まだ何も着手していなかった。
当然真っ先に発生する問題は、そのための費用。しかし……
「でも、充当する財源がありません。
昨年、予想外の支出になったのは県教育庁も同じなのです。
廃校回避も確定した今となっては、OGの方々に拠出金をお願いすることもできません。
まして国庫に頼るとなれば、局長がああなってしまったとはいえ、学園艦教育局の中でまたこの大洗女子を削減対象にする機運が出てこないともかぎりません」
昨年、大洗女子の廃校のために暗躍した元学園艦教育局長は、一部業界との「不適切なお付き合い」と官製談合誘導、贈収賄の嫌疑がかけられて拘留中で保釈も棄却され、容疑が確定し次第、刑事休職から懲戒免職にされることが決まっている。彼は自分で辞表を出したが受理されなかった。世論が彼の徹底的な処罰を求めているからだ。
といってもそれは、学園艦教育局が大洗擁護に回ったことを必ずしも意味しない。
依然として文科省の台所が苦しいことは変わらない。
いまは大洗に手をつけるのがタブーだというだけだ。図に乗って金をせびるようなら、彼らはまた大洗女子学園艦の廃艦を検討するようになるだろう。
学園長始め職員たちも、次年度の戦車道縮小はやむを得ないと考えていることも、華は知っている。また、学園長から内々にみほへの根回しを依頼されてもいた。
まして華は生徒会長、戦車道にのみ肩入れできる立場にない。
だから優花里には、新規の予選増額をこらえてもらうしかなかった。
「優花里さん。戦車道予算は現年度ベースで上程しましょう。
私たちは戦車道履修者である以前に
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