あきらめは愚か者の結論
第1話 伝説の終わり?
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願いします」
形式的な稟議だけで会議に上程されると思っていた優花里に、会計委員長は言外で論外だと言って、予算案を突き返してきた。
「どういうことよ! それ」
角谷政権下では、すべて会長の意思であるといえば、どんな横暴でも通ったものだ。
前広報主任の河嶋桃など「横暴は生徒会の特権」とまで言い放っていたものだ。
まさか副会長の作成した案に隷下組織が異を唱えるなど。
優花里は感情的になった。
優花里は格上の人物には実にしゃちほこばった軍隊口調で話すが、目下、後輩には普通の口調で話す。軍隊口調が好きと言うことは裏を返せば上下関係に厳しいと言うことでもある。
しかし、普通T科でも指折りの秀才は微動だにしない。
「2012年度は戦車道の勝敗にこの学園の存廃がかかっていました。
プラウダ戦で会長が明かした事実は、この学園を震撼させました。
学園のすべての機関が非常事態と認識し、すべての部活動が遠征予算を返上し、また生徒会予算を始め授業に支障が出ても構わないとの学園長の指示もあり、学園運営費までギリギリの削減を実施しました。その上OGの皆さんも多額の援助をしてくださいました。
それでも本年度に活動らしい活動ができたのは戦車道だけなのです。
残りの生徒は学校行事はもとよりすべての大会、発表会、コンクールをあきらめ、校内だけで黙々と練習だけに日を費やしたのです。学園の存続には換えられないと。
今年度が最後の舞台だった三年生もです。
……ここに本年度の燃料費と消耗品費の実績速報があります。ご覧ください」
戦車の燃費はリッター数百メートル。専用競技弾、練習用木製弾は連盟専売であり、組織運営費や事故補償費まで込みになっているからきわめて高価だ。
ある程度わかっていたことだが、ペーパーにして出されるとさすがに優花里も鼻白む。
それでも優花里は譲ることはできなかった。
「でも、ここで大洗女子戦車道を未来に向けて盤石にしないと、また廃校の標的になる。
それを回避するために、せめて量的には四強と戦える戦車隊を……」
「――大洗女子は聖グロのようなお嬢さま学校でも、サンダースのような巨大校でもない、一介の公立学園艦にしか過ぎません。一個大隊相当の戦車隊どころか現状を維持するだけで潰れます。
それが現実です。
いま私が申しあげていることは、会計委員会の総意です」
彼女は正論を言っているだけだった。しかし戦車道がこの学園の救世主だと信じる優花里は引くつもりなどない。
「副会長として命令します。
この予算案を、一切手を加えることなく予算会議に上程しなさい。
意見書はつけなくて結構。すべての責任は私が持つ。
これは会長の意思であります。財源は他の費目を削減して捻出しなさ
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