あきらめは愚か者の結論
第1話 伝説の終わり?
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ほどだった。『当たらなければ、88mmだろうがどうということはない』『戦いは二手三手先を読んでおこなうもの』であるみほにとっては、戦車の性能差はむしろ乗り越えるべき目標だったのだ。
また、みほ自身は試合の勝敗それ自体よりも、どう戦ったかという『内容』を重視する人物でもある。その意味からもハードウェアの強化の優先順位は、彼女の中では低かった。
だから強い戦車の必要性を痛感していたのは、このときの大洗女子では優花里ただ一人だったと言っていい。
戦車の質と数で言えば全国大会一回戦敗退常連校のほとんど(つまり、知波単以外)よりもお寒い状態なのだ。
これでみほが卒業でいなくなる2014年度以降には、大洗女子戦車道はどうなってしまうのだろうか。考えるまでもなかった。
こうしてここに生徒会副会長、秋山優花里の孤独な戦いが始まった。
そこにあるのは使命感なのか、それとも……
秋山優花里は、まずは予算の増強が不可欠と考えた。
それとこの学校でこの年度、成果らしい成果といえば戦車道全国大会の優勝しかない。
大洗を再び存亡の淵に立たせないためにも、戦車道の強化は絶対に必要と優花里は考える、
(なんとか全国大会には10両は出さないと厳しいな。
でも乗り手は履修希望者が激増するだろうから、あとは新車購入費ももりこんでと。
あと、八九式だけは代替車両を用意しないと……)
彼女が次年度活動予算として盛り込んだのは、パンターを想定した新車購入費、年間の燃料、部品、弾薬の使用量見積もり、全国大会と交流戦の遠征費だった。
その結果、固定費だけでも2012年度実績比で170%、総額442%の増、つまり2012年度の5.42倍となる予算案ができてしまった。
これでもいくつか必要と思われる費目を削った結果であり、優花里としては全国大会連覇のためには次年度限定で10倍の予算が必要と踏んでいた。
(正直、この予算でもパンターが2両買えるかどうか。
やっぱり八九式の更新含めて3両は欲しい。それでもやっと全部で10両。
本当なら新車両は重戦車がいいんだけど。
あとは西住殿の腕と戦術としても……)
優花里は自分の作成した予算案をたたき台にして、華と二人で次年度を大洗女子を戦車道強豪校とするための盤石な基盤作りの年と位置づけていた。
のちのちさらなる出費が必要なら、補正予算を組めばいい。
会議に諮る前に会計委員会の審査があるが、会長と副会長が戦車道履修者である以上、前年度の角谷政権同様、形式的審査だけで通過する。
そう優花里は考えていた。しかし……
「副会長の肝いりはわかりますが、戦車道予算は本年度比で50%の減額をお願いします。
この予算案は、うちでは審査できません。再精査をお
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