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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
あきらめは愚か者の結論
第1話 伝説の終わり?
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第一回戦、実力拮抗(つまり弱い相手)の第二回戦をくぐったあと、準決勝戦で四強の一角『プラウダ高校』の物量と老練さの前に敗北寸前となるも、ここで角谷が「負ければすべてが終わる」ことを明かし、みほを中心に死力を振り絞って虎口を脱した。
 そして惨敗確実と思われた決勝戦ではまさに背水の陣で戦って、味方8両中7両まで撃破されながら、敵旗車含む10両の第一線級戦車を撃破し、薄氷を踏むかのような勝利を得た。
 このときも今も、大洗女子の保有する戦車は8両のみである。
 大洗女子には、一流戦車といえるものは1両もなく、むしろ全く戦力にならない時代遅れまでいたという悲惨なラインナップであって、なぜ優勝できたのか、誰にも説明できないといわれる。
 むろん、戦車の力関係でいうなら優花里にさえ「勝因」を挙げられないのだ。だから「腕と戦術で勝った」としかいいようがない。
 もっとも過去の歴史にあっても、大洗女子と同じような立場に立たされた小勢が大軍を屠った例はないわけではない。しかしその条件は厳しく、すべてがそろうことは本当に稀だ。

 大洗女子が優勝したことにより、辻局長の面子は潰れ、彼の政治力は大きく下落した。
 そして面子を潰された高級官僚は、潰した相手を決して許さない。
 彼は失地回復と潰された面子の恨みを賭けて、再び大洗女子に戦いを挑む。
 面子以前に、どうあっても大洗女子を廃校にしなければ、彼は失敗者の烙印を押されて官界から追放されるのだ。(その後明らかになった、いろいろな事情もあった)
 こうして霞ヶ関と高校戦車道界と大学選抜、さらにこの国の二大流派まで巻き込んだ実にダーティーな暗闘が勃発する。(以下「大洗動乱」と記す)
 だがこのとき大洗側に次々援軍と支援者が現れ、敵であるはずの黒森峰のオーナー、西住流宗家まで加勢した結果、辻の目論見は潰え去った。
 こうして、一応は大洗女子に平和が来たように思われた。
 卒業間近の角谷は会長位を華道家元継嗣にして殊勲砲手の五十鈴華に譲った。そして新執行部が活動を始めた矢先に長年休止していた無限軌道杯という全国規模の高校生大会が開催されて、大洗女子もよんどころない事情から参戦することになった。むろん今回は廃校とは無関係だ。
 そして、年度末がやってきた。

 大洗女子戦車道履修者としての秋山優花里と、戦車博士としての秋山優花里に乖離が生じ始めたのはこのころからだった。
 履修者としての優花里は、新たなる戦いを望み、大洗を不動の強豪にせんと考える。
 一方で戦車に該博な方の優花里は、彼女の中で警報を鳴らし続けている。
 戦車陣の弱体ぶりに、他の誰も問題意識を持っていないからだ。
 そう、西住みほでさえ。むしろ彼女は『戦車の性能が戦車道のすべてではない』というテーゼを体現すらしていると言って良い
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