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大洗女子 第64回全国大会に出場せず
あきらめは愚か者の結論
第1話 伝説の終わり?
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として戦うことを期待されているのだ。

「優花里さん、あんなことになって大丈夫かなあ」
「きっとわかってくれますよ。みほさん」

 みほが気にかけているのは、合宿前にあった次年度生徒会予算会議のことだった。





 優花里は2013年度の全国大会連覇を目指し、副会長職にありながら戦車道経費の積算を自ら買って出ていた。それには彼女なりの理由がある。

 彼女、秋山優花里は戦車道戦車にかきらず、ありとあらゆるAFVが大好きという趣味人的な高校生だ。とはいえ、高校2年になるまでその『趣味』を共有できる人間はいなかった。
 スポーツでも個人武道でもそうなのだろうが、たとえば誰でも不人気球団の登録選手まで全部知ってはいないだろうし、幕内力士全部の名前と部屋と出身地が言えるようなら、もはやウルトラマニアといっていいだろう。
 AFVマニアでもカナダやオーストラリア、アルゼンチンにスペインの戦車が答えられるようなのはそうそういない。なぜかというと、戦局にまったく影響を及ぼしていないからだ。これは飛行機マニアや艦船マニアでもそうに違いない。
 ただ、鉄男さんや鉄子さんは別だ。ありとあらゆる路線を知悉し、ありとあらゆる車両を知っている。そうでなければ話に加われない。
 秋山優花里はそのレベルのエンスーだった。当然のことながら、戦車道選手でさえ話について行けない。なぜならどこぞの小国の弱小戦車なんか、単なる棺桶でしかないからだ。
 ここが鉄道趣味との最大のちがいだ。鉄道ならどんなローカル線も制覇してナンボだ。まして珍しい車両なら、絶対に乗りたいに決まっている。
 そんなわけで秋山優花里を理解できる人物は、少なくとも女性の中にはいなかった。
 彼女が英雄とリスペクトする西住みほ、大洗女子学園戦車道隊長でさえそうであった。

 去年戦車道を始めたばかりの大洗女子は(正確にはその20年前までは正課授業にしていたが)2012年度「第63回戦車道全国高校生大会」にいきなりエントリーし、優勝候補3校を含む4校すべてを撃破して優勝するという、空前絶後といっていい快挙を成し遂げた。
 だが、その背景には「公立学園艦統廃合計画」により、学園自体が存在する「大洗女子学園艦」が廃止解体されるという事情があり、生徒会長角谷杏が学園艦教育局長辻簾太と交渉して「全国大会優勝」とひきかえに廃校取りやめを迫ったといういきさつがあった。廃校の理由が「これといった成果を上げていない」ことだったからだ。
 そして角谷は戦車道授業を再興し、優勝常連校黒森峰女学園から(事情があって)転校してきた戦車道エリートの西住みほを中心に据えて全国大会にエントリーした。
 他の生徒に重圧を負わせたくなかった角谷は、みほにも廃校予定の事実を伏せたまま戦っていたが、タナボタにちかい
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