暁 〜小説投稿サイト〜
ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第66話 邪悪な顔
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


「え――――・・・ 今日の美術なんだが、先週に続いて自分の『大切なもの』をテーマに絵を描いてもらおう。 大切なものこそ、それぞれ心の中にある芸術(アート)なんだ。 皆 自由に描くといいよ」


 今行われているのは美術の授業。その先生が石神先生だ。丁度 昨日モカと話していた先生である。
 今回の授業のテーマを訊いたつくねは、無意識なのか 或いは意識しているのか判らないが、モカの方をじっと見ていた。
 そして、そんなつくねの行動はカイトの位置からだったらはっきりと判る。

「(あの様子じゃ・・・ まだ言えてないな。うん 間違いなく)」

 本人にはっきりと訊けば良い――とアドバイスをしたカイトだったが、つくねの様子を見て苦笑いをしていた。

 そして授業も進み、軈ては クラスの女子生徒たちが、石神先生のほうへ集まりだした。

 その中には他のクラスから来ている生徒もいた。今は授業中なのに…… つまり、授業をサボってきていると言う事だろう。

「やっぱり大人気だな。石神先生は」

 教師と生徒が仲がいいことは、何か微笑ましいとも言える。
 だが、他の事ばかり気にしてたら、しなければならない事も出来なくなってしまう為、カイトは改めて集中した。自分の大切なものを頭の中に思い描いて。

 そんな中で、つくねは何やら美術の教本を凝視していたのにカイトは気付いた。
 何かモチーフになるものを探しているのだろう、と思ってまた自分の作業に戻ったのだが……、結構凝視する時間が長い。
 
「なぁつくね。さっきからずっと凝視しっぱなしだけど、そんなに美術好きだったっけ?」
「うひゃあ!」

 話しかけたらつくねは、飛び上がらん勢いで驚きつつ、ばんっ!と勢いよく教本を閉じてた。

「いっ いや! なんでもないよ!?」

 どう見ても なんでもないように見えないのだが、追及するつもりも無いカイトはと言うと。

「ま、別にいいか。好みは人それぞれってもんだ。んじゃ オレは絵描きに戻る。つくねも頑張れよ? 5教科と違って、そこまで重要視されてない美術だけど、内申点には響くらしいからな」

 手をひらひらさせて、カイトはモチーフ探しを再開した。

 正直に言うと カイト自身も非常に悩んでいる。今回のテーマは カイトにとっては多すぎるから。大切なものが、多すぎるから。




 そして 授業が終わった。



 つくねは 意を決した様で色々とモカと話そうと努力を重ねているのだが、その成果が全然実らない。

 ある時は くるむに、またある時は ゆかりに、果てにはギン先輩にまで 邪魔をされる形になるのだ。

 一応説明をしておくが、皆別につくねの事を妨害してるわけじゃない。
 けれど ど
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ