暁 〜小説投稿サイト〜
ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
辺境異聞 9
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
しないなんて言ったやつは」
「これは見過ごせないねぇ。彼らからしたらドラゴンを退治してくれるならアルザーノ帝国の魔導士だろうがレザリア王国の神官でもいいわけだ」
「……もしレザリアの連中の助けを借りて事態を解決した場合、この辺りはレザリアの影響力が強くなる。ということか」

 アルザーノ帝国とレザリア王国。両国の間に挟まれるような場所ながらも、中央から遠く離れたこの土地は緩衝地帯ということになる。
 両国は平時から土地の有力者と良好な関係を結び、自治を認めたり、納税を免除するなど優遇し、有事の際には味方になってもらう。最悪でも相手方に協力せず中立を保ってもらうよう、普段から根回しをしている。
 なかには形ばかりとはいえ両国から官位官職を与えてもらい、貴族の仲間入りをする表裏比興な郷紳もいるくらいだ。

「ここでレザリア王国に出てきてもらっては、アルザーノ帝国としてはまずいわけだ」
「そういうことだ。それに神官どころか軍隊でも派遣してきてドラゴン退治を名目に常駐されでもしたら、まためんどくさいことになる」
「じゃあ連絡してやろう。通信魔導器の魔力はまだ残っているだろう」
「もっと早く解決する方法もあるぞ。私がドラゴンを退治するんだ」
「まだ強力な魔術を使える状態じゃないと言っただろう、やめろ」
「ならおまえが行って退治してこい」

 裏庭の井戸から水を汲んで来い。
 とでも言うように、気軽な調子でセリカが言い放った。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ