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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 13
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的な性格から「妖仙」の異名を持ち――』 

 倉橋法源の項目に載ってある画像は秋芳その人だった。

「他人のそら似、と思いたいが経歴までかぶってやがる。これがこの世界の俺か?」
「こっちの秋芳君、あたしのお兄様なんだ……」
「妹か……、歯磨きプレイがしたいな……」
「え? 歯磨きがなんですって」
「いや、気にするな」

 モニターに表示されている秋芳と瓜二つの法源の姿を食い入るように見つめ、語るふたりに春虎と冬児が怪訝そうな表情を浮かべ、口をはさむ。

「おまえも法源のように呪禁が使えるのか。でも外見は似てないだろ」
「似通っているのは髪型くらいに見えるぜ」

 冗談を言っているのではない、本当に春虎たちには別の人物に見えるらしい。

「まさか、じゃあ京子は――」



 倉橋京子のデータを閲覧。金に近いあざやかな亜麻色の髪をハーフアップにし、長いまつ毛に紫がかった瞳と薄バラ色の唇が快活な美貌を彩っている。腰高で手足の長いすらりとした肢体はファッションモデルのよう。
 画像はまさしく倉橋京子その人なのだが、やはり春虎たちには目の前にいる京子は別人に見えているらしい。

「どうもこの世界の住人の目には俺たちは異なる外見に映るらしいな」
「んー、そのほうが混乱がなくていいんじゃない」
「お、これが夏目か」
「夏目君、じゃなくて夏目ちゃん……」

 それは京子の知る美少年ではない、妙齢の美しい女性だった。漆黒の外套を身に着け、長く垂れた髪を後ろでひとつにたばねている。黒絹のように艶やかな髪とは対照的に肌は新雪のように白く、ほのかな照明のもとで雪花石膏(アラバスター)のようになめらかに輝いていた。

「綺麗……、夏目君――、じゃなくて夏目ちゃんて女の子になるとこんなに美人なのね」

 黒い髪と白い肌。対照的なふたつの色が生み出す美貌に、秋芳は陰陽を表す太極図を思い浮かべた。

「でも、中身は夏目ちゃんじゃないのよね。夜光の生まれ変わりとして覚醒したって」
「夏目の人格はもうないのか? なんとかして夜光の魂を封印すれば――」
「……そういうんじゃないんだ。夏目はあくまで『夜光の記憶のある夏目』なんだ」
「なんと」
「だから人格が不安定になるとか分離するとか、そういうことはいっさいない」

 それはつまり土御門夏目の意思で多軌子に、いまのディストピア国家に仕えているということだ。

「でもなんで? あたしの知っている夏目君はそんな人じゃないわ」
「夏目に関しては説得の余地がある。おまえたちにはちょっと別のことをしてもらいたい」
「なにをさせるつもりだ? 饗応を受けたからにはご期待に応えるつもりだが、さすがにミサイルや軍艦を沈めるような怪物相手に立ち向かえるほど俺たちは強くはないぞ」
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