暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 13
[3/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ティをふっくらとしたバンズに挟み込むんだ。パティにする鵺肉はミキサーを使わず、食感が残るようにあえて粗めに仕上げるんだ。そうすることで鵺肉の性質上、部位によって味や食感が大きく異なるという特徴を最大限に利用できて、食べるたびに新しい味に出会えるギャンブルバーガーとして一部の客層から好評だったんだ」
「百味ビーンズかよ。……なぁ、ひょっとしてデミ・ナンディのステーキや豆狸の稲荷寿司とかもあったりした? グリフォンやカラドリウスやチュパカブラの肉で唐揚げ作ったり、マヤウェルの茎から採取した汁を黒蜜やきな粉の代用品にして葛餅にかけて食べたりしてた?」
「はぁ? なんだそりゃ、そんな食材は見たことも聞いたこともないぞ」
「いまはゲテモノ料理の話よりもほかに話すことがあるでしょ。夏目君が夜光の生まれ変わりだってうわさ、この世界では真実なのね。しかも夏目君が女の子で春虎の双子の妹だなんて、たちの悪い冗談。変な夢みたいだわ」
「それに将門公の魂を宿した相馬多軌子に八瀬童子の夜叉丸、蜘蛛丸か……、どれも知らない名だな。将門公がらみで相馬というからには上総氏や千葉氏といった平忠常系の系譜かな。しかしよりにもよって将門公とはねぇ」

 平忠常。将門の次女の生んだ子であり、将門同様関東で乱を起こし、鎮圧され京都に護送中に病死したとされる。その子らはゆるされ上総氏や千葉氏、相馬氏などにわかれた。
 余談ではあるが将門の嫡子である将国が幼いころ常陸の国、信田に落ち延びたことでいつの頃から同郷の出身である安倍晴明に関連づけられ、安倍晴明と平将国。このふたりは同一人物であるという説が生まれた。
 将門の乱のときすでに晴明は成人しており年代的には合わない。源義経=チンギス・カンとおなじようなトンデモ説ではあるが、土御門夜光という安倍晴明に比肩する陰陽師の筆頭が将門の魂を宿した少女と行動をともにすることに、秋芳は時代を超越した奇妙な因縁を感じた。

「相馬って、前の戦争のときに土御門夜光を陰陽頭として帝国陸軍に招き入れた呪術の大家よ。倉橋とならんで夜光の双翼と称されたんだけど、敗戦を境に市井にまぎれて呪術界からは姿を消したって、まえにお祖母様から聞いたことがあるわ」
「ほう、そうなのか。それともうひとり知らない名があったな。法源(ほうげん)てのはなに者だ。持禁の術を使えるようだが」
「倉橋法源。『妖仙』の異名をもつ十二神将のひとりだ」
「倉橋ですって!?」
「知っている名前か?」
「いいえ、初耳よ。そんな人親戚にいないわ」
「親戚? あんた倉橋の人なのかい?」
「ええ、あたしの名前は――」

 あらためて自己紹介をすると、春虎と冬児がおどろきの声をあげる。

「京子だって!? 倉橋の……」
「ええ、それがどうかしたの?」
「そうか、そっちの世界の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ