幻想少女の月捜索
仮初の少女と朧げな英雄
[1/12]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
いつも私は同じ通学路を見続けている気がする
学生なのだから当然だろう
私はどこからどんな道を通って学校に来ているのだろうか?
間違いなく家で目を覚まし制服に着替えていたはずなのにそこまでの過程の情報はまるで盗まれたかのようにどこかへ行ってしまっている
違和感を感じているが通学路の風景はまるで変わらない
むしろその違和感でさえいつも通りのように感じる
校門では生徒会長が何かをやっている
今日は風紀チェックをする日だったようだ
服装は問題ない 髪形もまぁ、問題ないだろう
髪色はややアウトの茶髪だが周りを見渡すともっと個性的な人もいるのでギリギリセーフだと思いたい
ただ鞄の中に見られてはまずいものがあるのでばれない様に隠れて校舎内へ入って行く
教室もいつも通りだ
席に荷物を置くと女子生徒が私に用事を言いつけてきた
「糸島さん、教会のシスターさんに届けて欲しい物があるの……私これから大事な用事があるから代わりに行ってもらえないかな?本当ごめん!」
仲のいい購買部でバイトをしている生徒だ
毎朝シスターに届け物があるようだが時間がなくいつも私が代わりに行っている
忙しそうにしている彼女の姿が脳裏に浮かび、ついつい引き受けてしまうのだ
「わかった、シスターさんは教会にいるのね」
この学園 月海原学園の中庭には教会がある
教会の前には噴水と花壇があり美しい風景を見ることができる
花壇には1人の生徒が花を眺めてぼんやりしている
初めてみたはずだが何故か私にはこの生徒がいつもここにいる気がした
何故?
「あら、優衣ちゃんどうしたの?」
教会から出てきたシスターに声をかけられ意識が戻る
何故かシスターに声を掛けられると体が……魂が拒絶する気がした
「あ、シスターさんお届け物です」
小包を渡して教室に戻ろうとしたら言い争っている声が聞こえてきた
「時臣!お前はどうして…いつも…………もう……凛ちゃんは……!!」
「今は関係のない話だ」
言い争っているのは教職員の遠坂時臣と間桐雁夜
酷く仲が悪いようで顔を合わせたらいつも言い争うになる
「本当あの二人は仲が悪いわねぇ」
シスターでさえ苦笑い
堂々と生徒たちの前でああも喧嘩できるとはどういう神経をしているのか、というか2人とも教師には見えない
話はよく聞こえないが何やら遠坂凛がらみの話のようだ
実の娘が生徒というのはどういう気分なんだろう?
ふと思い出したかのようにシスターは私に話しかける
「そういえば養護教諭の方が昨日からお休みしてるみたいで何人かの男子生徒が嘆いていたわよ」
養護教諭、確か保健室の先生ことだ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ