暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第251話 日は沈む
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「ああ。……だけど、その代わり……と言ったらアレだけど 少し頼まれてくれないか?」

 和人の顔は暗かった。思いつめた表情をしている、とでもいうべきか。
 明日奈はその言葉を訊いてゆっくりと頷いた。
 それを見て、和人は続ける。

「リュウキは、今悩んでる。……会って大丈夫なのか、って。拒絶をされるだけじゃないか、って。……オレは ユウキやラン達のこと、明日奈から聞いたから知ってるつもりだ。でも、その場所に、オレはいなかった。だから……、そこにいた明日奈に、……玲奈にもだが、リュウキの事を支えてもらいたい。アイツは悪くなんか無いんだ。勿論、今回の件。悪いヤツなんか誰一人いない。……ちょっとした巡り合わせの違いで、こうなったんだってわかってる。……カミサマってヤツがいるんなら、ソイツは ほんとに性格悪いよ。ここまで頑張りに頑張り抜いた男を、また苦しめようとしてるんだから」

 須郷や狭山ばりだ、と口に出しかけたが和人は言葉を飲み込み、ため息交じりに笑いを上げた。
 それを訊いて、明日奈は 少しだけ間を置くと ゆっくりと微笑む。

「ふふっ…… 和人君って、ほんと隼人君の事が好きだね? 私、妬いちゃうかもだよ? 勿論、レイだってさー」
「っっ!! お、おまっ! あすなっ!? 何変な事言ってんだよ!!」
「ふふふっ じょーだんだよ」

 どわぁっ! と思わずベンチからズッコケ落ちそうになってる和人を見てまた笑いがこみ上げてくる。 

「でも、ほんとに想ってるって言うのは伝わるんだよ。……だって、今の和人君。隼人君が初めて心から落ち込んだ時も。……SAOでの世界で、傷を負ったも そんな顔してたから。そんな顔をして、隼人君の事、心配してたから」

 明日奈は、つんっ と和人の頬を指先で押した。やわらかな弾力は明日奈の指を返し、そのまま指を引っ込める。
 和人は少々気恥ずかしそうに 頬をポリポリと掻くと 少し唸りながら言った。

「う、うぅん……。アイツの事が心配になるんだ、って明日奈だってわかるだろ? 普段は人一倍大人びてるって言うのに、時折幼さだって見えだしたりするし。……隼人が怒るから直接は言わないけど、オレは 息子って言うより 弟を持った感覚にだってたまになるんだからさ。……オレ、一応 スグの兄貴だから より思っちゃうんだよなぁ」
「あははは。勿論。私だってわかるよ? 色んな意味で隼人君は凄いのに、時には抜けちゃったトコがあったりして 可愛いと言うか面白いと言うか。……それは 和人君だって一緒かもだね? と言うより、和人君だって負けてないよ? ……あっ、それに 一応兄って、なんか直葉ちゃんが可哀想だよー。お兄ちゃんっ! って言ってるのにさ」
「じょ、冗談だって。言葉の綾ってヤツで……」

 隼人の事を幼い
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