暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第251話 日は沈む
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 暗く沈みそうな心。それなのに毎日は続いていく。
 日は沈んでまた昇る。雲一つ無い晴天。痛い程の青い空の日。

 何気なく2人はいつもの病院の中の中庭へと足を運ばせていた。まだ比較的自由に歩き回る事が出来た時期だった。だけど、この先はきっと自由などない、という事が2人には判っていた様だ。 だからこそ、求めたかったのだろう。青い空を。……高い高い自由な大空を。翼でもあれば 自由に飛び回る事が出来るのに……と。

 そんな時に 日向と2人が出会った。

 中庭にいたのは1人だけだった。
 1人の少女。車椅子に乗った少女が 空を仰ぎながら目を瞑っていた。
 
 日の光が集中でもしている……とでもいうのだろうか、ユウキとランの目には 太陽の光が 昼間だと言うのに 目の前の少女に降る注いでいるかの様な幻想的とも言える光景に見えた。

 軈て、少女はユウキとランに気付いたのだろう。目をゆっくりと開けて2人の方へと視線を向けた。
 そして ニコリ……と微笑みこう言ったんだ。




『こんにちは―――。今日は天気が良くて、何だか気分がとっても良いですねー』

















「サニー……、日向さんから貰ったんだと。あの人がくれました(・・・・・)とずっと言っていました……ユウキとランは いつもの様に言ってました。日向さんが心からの笑顔を。……命までくれたんだって。そこからでした。私達は まるで導かれる様に ユウキとランに、サニーに出会いました。紡がれた輪はどんどん広がりました。……大切な仲間が増えて。沢山……冒険をして……」

 シウネーはリュウキやアスナ、レイナの目を見て話しをしている筈なのに、その視点がズレている様に感じた。自分達の背後。……いや 遥か遠い過去に目を向けているかの様に感じた。

「サニーは 言ってました。『逆ですよ。今の私は空っぽで、皆が満たしてくれたんです。今も満たしてくれてるんです』と」
「からっぽ……? それはどういう意味、ですか?」
「………」

 支えてくれているレイナや 辛い今のリュウキに代わって、アスナがシウネーに訊いた。

 そして、漸く判った。

 サニーが生きていた事。それ自体がリュウキにとっては驚愕する事だ。
 だが、判らない事だってある。無事だったのであれば……どうして、今の今まで知らなかったのか、だった。調べなかった訳はない。あの狭山を潰した一度目の件の後。リュウキはサニーの無事を信じて探した。
 でも、それっきり会う事は出来なかったんだ。綺堂も手を尽くしてくれたが、無理だったんだ。

 その理由が判った。


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