思い出のマウンド
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投手の不調で監督は誰をマウンドに上げればいいのか決められずにいた。
「そこで志願登板をしたのが孔明さんなのよ。まだ万全じゃない肩肘でマウンドに登った。当然皆心配していたけど、彼はその不安を消し去る好投を見せた。久々の登板で変化球は全く精度がなかった上に代名詞のスプリットは肘が怖くて天王寺さんもサインを出せなかった。でも彼はストレートとツーシームだけで0に抑え続けた。打撃でも甲子園タイ記録となる8打点。でもその間にもどんどん彼の肩肘の爆弾は爆発に近付いていった。そして勝利を間近にしたところで限界を迎えた。3点差を引っくり返される満塁ホームランを浴びてマウンドを降りることになったわ。最後はなんとか天王寺さんがサヨナラホームランを放って勝ったけど、孔明さんはその後再起不能と言われプロ野球志願届けも出せず、高校も特別措置で早々に単位を取らせてもらって学校からいなくなってしまった。
彼はただ最強と言われるチームのために戦い続けた。でも、天王寺さんも光も結局は彼に頼ることばかりで苦しい役を担わせいいところだけを持っていった。それなのにあいつらは今でもノウノウと野球を続けている。私だったら仲間をあんな目に合わせておいて、野球を続けることなんかできないわ」
自然と溢れ出た涙を拭うツバサ。彼女が兄や剛を嫌う理由・・・それは彼女が必死に戦った稀代のエース、孔明を慕う強い想いから来ていることだと知った穂乃果たちは、何も言い返すことができない。
「きっと孔明さんもあんな奴等に会いたくなくて学校からいなくなったのよ。だから私も絶対あいつらは許さない。明後日の決勝戦で必ず孔明さんの仇を討つわ。あなたたちを倒してね」
「そんなこと・・・」
あまりの気迫に反撃もできず押し黙っているμ'sの面々。しばしの沈黙で重い空気が流れていると、彼女たちの話している近くにある階段から男性の声が聞こえる。
「仇ってのは、死んだ人間のために取るもんだぜ、ツバサ」
「誰よ、あん・・・た・・・」
馴れ馴れしい口調に話しかける男性に怒声を上げようとしたツバサ。だが、その青年の姿を見て彼女は口を開けてあんぐりとし、にこと花陽は目を輝かせていた。
「残念だが、俺はまだ死んでいないぞ」
階段から立ち上がり降りてきたのは東日本学園を頂点に導いた絶対的エース、佐藤孔明だった。
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