思い出のマウンド
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彼と同じようになりたくて野球を始めて・・・ずっとその姿を追い続けてた・・・
でもね、彼は肩を壊して野球ができなくなったの」
「知ってます。甲子園での連投が祟ったって・・・」
「それは誰から聞いたの?」
「ビデオとか・・・ニュースとかで・・・」
当時の東日本学園の試合のビデオはほとんど見た彼女たちは孔明のケガの原因もわかっていた。メディアもそう言っていたし、まず間違いないだろうと。
それを聞いたツバサは思わず失笑する。まるで大海を知らない井の中の蛙を見るような目で彼女は話を再開する。
「世間ではそう言われているけど、本当は違うわ。矢澤さんと小泉さんは知ってるわよね?天王寺さんがキャッチャーを務められなくなった時期があるって」
「え!?そうなの!?」
「うん。二年生の夏の甲子園の後、U-18の世界大会に選ばれたの。でも、そこで剛さんは人生初の挫折を味わった」
「それが原因でしばらくキャッチャーでの精彩を欠いてしまいポジションから外れたことがあるの。その時にキャッチャーに選ばれたのが世界大会で天王寺さん、山堂学園の斎藤さんの不調でピッチャーから急遽選ばれた孔明さんなのよ」
エースとして夏の甲子園を沸かせた孔明はその打力を買われて世界大会では捕手としても活躍をしたらしい。チームに戻った後も、なかなか剛が復調せず彼は投手と捕手の二刀流をやっていたらしい。その経緯を2人が知っていたことに満足したツバサは先程の話の続きを始める。
「ただでさえ投手として酷使されていたにも関わらず普段とは投げ方も変わってくる捕手まで務めさせられて彼の肩と肘にはどんどん疲労が蓄積していったわ。そして選抜の決勝でそれが爆発した。その後孔明さんは春季大会も選手権の予選もマウンドには上がれなかった。甲子園でも光を中心に投げ抜き孔明さんはこのまま投げることなく高校野球を終えると思ってたわ。でもその方がよかった。彼は肩さえ治ればプロ野球も投手としてでも、打者としてでも指名される逸材だと言われてた。けど・・・」
そのから先のことは彼女たちも知っている。夏の選手権大会決勝戦、東日本学園をアクシデントが襲った。
準決勝の引き分け再試合、さらには雨での日程変更により彼らは甲子園史上唯一となる5連戦を強いられた。
3回戦の最終戦、準々決勝、ここで本来はこの年から導入された休日が入る予定だったが、ここまでに雨での順延で大会のこれ以上の遅延が行えず休日は消滅。さらにはその後の準決勝で東日本学園は選手起用が失敗し格下相手にまさかの苦戦で引き分け再試合。翌日はキャプテンを務めていた剛がロングリリーフを行いなんとか勝利を納めた。
だがここまでほとんどのイニングを投げることになった綺羅光の疲労はピークに達しており、決勝戦の初回で大乱調してしまった。絶望的な点差、光以外の
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