思い出のマウンド
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”イ”ノ”!?」
「え!?・・・ごめんなさい」
すごい剣幕で迫ってきた花陽に思わず小さくなる絵里。ものすごい顔をしている花陽の後ろにいるにこは、得意気な表情で話し始める。
「そうよ花陽。ここがあの―――」
「高校野球最強と言われた第80代東日本学園の二大エース、綺羅光と佐藤孔明が練習したグラウンドよ」
「ちょっと!!それはにこの・・・セリフ・・・」
自分の話したかった内容を言われて激昂するにこ。しかし、その声の主を見て彼女は固まった。
「UTXの・・・」
「綺羅ツバサ・・・」
そこにはUTX学園のクラブジャージに身を包んだ綺羅ツバサがいた。彼女は笑顔を見せると、彼女たちの元に歩み寄る。
「決勝進出おめでとう、高坂さん」
「あ・・・ありがとうございます」
「わずか数ヵ月でここまで勝ち上がるなんて、みんな相当センスがあるんじゃないの?」
「それは剛さんのおかげです。剛さんが私たちに野球を1から教えてくれたからここまでうまくなれたんです」
選手たちの才能を見抜き適正なポジションへと配置、さらには能力を活かしたプレースタイルを教えてくれた監督。そのことを話すと、ツバサの表情から一転して笑顔が消える。
「本当に好きなのね、天王寺さんが」
「はい!!もちろんです」
「はっきり言うけど、私はあいつが大嫌いよ」
鋭い目付きでμ'sの一同を睨み付ける。その気迫に背筋が凍り、皆動くことができない。
「あいつが野球を続けていることも、光が野球をしていることも、それを見て野球をやる人も、あなたたちみたいにあんな奴から野球を教えられている人も大嫌い。特に高坂さん、あなたが一番憎いわ」
「え・・・それはどうして・・・」
「1番でキャッチャー・・・さらにはキャプテン。天王寺さんは完全にあなたを自身の後継者として見ている。私はあいつが嫌い。つまりあいつのお気に入りも嫌いなのよ」
目が血走っている女子野球界の雄の姿に体が強張っている。そんな中穂乃果は、なんとか震える体を押さえつつ抱えていた疑問を投げ掛ける。
「なんでツバサさんは、剛さんや光さんが嫌いなんですか」
予選の時からずっと抱いていた。実の兄でありプロ野球でも指折りの投手である綺羅光のことを快く思っていない妹。さらにはそんな彼とバッテリーを組んでいた自分たちの恩師まで嫌ってるのが、どうしても解せなかった。
「・・・私はね、孔明さんが好きなの。彼のピッチングもバッティングも、その姿が何よりも好きで野球を始めた。光は小学生から野球をしてたけど、高校への進路で揉めてしばらく口も利いたことがなかったわ。それまで勉強もロクにしないで野球ばかりしてる兄を見てたから私は無意識に野球を避けてた。でも、偶然見た孔明さんのプレーに感動した・・・だから
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