思い出のマウンド
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どこで練習するのか全然考えていなかった。学校でやっては剛に止められるし野球場の予約などもちろんしていない。どうしようかと迷っていたところ、にこが何やらいい場所を知っているらしく案内している。
「ここにこ〜」
「ここって・・・河川敷?」
辿り着いたのは川に面している広場。野球場という感じではないが、練習するには十分なスペースがある。
「ねぇ、誰かいるみたいだけど」
練習を開始しようかと思ったところで先客がいることに気が付く。人数は3人で、背丈はかなり小さく小学生くらいのように見える。彼女たちは広場の隅にある盛り上がったマウンドを使ってキャッチボールをしていた。
「あ!!お姉様!!」
「え!?お姉ちゃん!?」
「にこに〜」
その少女たちは穂乃果たちの方を見るとそんなことを言いながら走ってくる。
「え?お姉ちゃんって・・・」
誰のことを言っているのかわからず呆然としている彼女たち。その中の1人、チームで一番小さな少女が前に出て3人を迎え入れる。
「こころ、ここあ、こたろう、こんなところで何やってるの」
「え?にこちゃん?」
3人が飛び付いたのはにこ。3人は彼女の弟妹らしく、にこの姿を見て駆けてきたらしい。
「お姉様が野球を頑張っていると聞いて、私たちもやってみようかと」
「でも野球って難しいね、こんなのをやれるなんてお姉ちゃんやっぱりすごい!!」
「かっこいい〜」
3人はにこのことが大好きらしくかなり親しみを持っている様子。そこでにこはお姉ちゃんらしいところを見せたいのか、優しく頭を撫でる。
「これからお姉ちゃんの上手なプレーをいっぱい見せてあげるわよ」
「本当ですか!?」
「見たい見たい!!」
「楽しみ〜」
お姉ちゃん風を吹かせてチームをまとめている雰囲気を出すにこ。彼女は先頭を切ってグラウンドに現れると、練習を開始するために準備する。状況を察した穂乃果たちはこの場は彼女を持ち上げるために付いていくことにした。
「あれ?かよちんどうしたの?」
全員が練習を開始しようとすると、なぜか花陽だけは動こうとしない。何かグラウンドを見回すと、こころたちがキャッチボールしていたマウンド周辺に歩いていく。皆が心配して彼女のそばに駆け寄ると、少女の顔を覗き込む。
「大丈夫?花陽ちゃん」
「どこか悪いん?」
ことりと希の問いかけに何の反応も示さない。しかし、彼女は急に顔を上げると目を輝かせにこへと詰め寄る。
「にこちゃん!!ここってもしかしてあの伝説の聖地!?」
「伝説?」
「聖地?」
何を言っているのかわからない花陽とにこ以外のメンバーは顔を見合わせている。
「花陽、伝説の聖地って何のことなの?」
「エ”リ”チャ”ン”シ”ラ”ナ
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