辺境異聞 8
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そこで兵士たちを率いるのは《聖賢》ロイド=ホルスタインと一〇〇人の仲間たち。
栄光の担い手たる、百の勇者たち。
セリカが天空へと向けて放った一発の光弾。
それこそが、邪神を追い払う、最初の一撃だった。
後の世に六英雄と称される者たちだけではない、邪神との戦いでは数多の英雄や悪人。超人魔人妖人が現れた。
深く傷つきながら、だれを憎むことなく、すべての浄化と救済につとめた《癒しの姫》アンジェリカ。
素手で魔鋼鉄のゴーレムを砕いた東方の《武王》マス・タイザン。
竜の王(ドラゴン・ロード)と心を通わせ共に大空を翔けた最初で最後の《竜騎士》リシャール。
悪魔に肉体を奪われながらも最後に残った哀しみと喜びの心によってその支配を跳ね返したという《悪魔人》アキュラ。
血のつながった姉を愛し、その愛ゆえに邪神と通じ、数万の血を流した《狂騎士》ガーランド。
外宇宙から飛来し、大地に落ちた見えない船から魔法の源を奪い、邪神と手を組んで人々を支配した《魔盗賊》ドルコン。
狂気の芸術家にして合成魔獣の生みの親《黒の創り手》モロウ。
魔導大戦は邪神との戦いと同時に人類同士の殺し合いでもあったのだ。
「――魔導大戦の頃から今に至るまでのニ〇〇年の間、その剣と、そこに込められた技のおかげで私は数々の危難を払いのけてきた。……おまえは、私が齢四〇〇を超える灰塵の魔女だと知って、なんとも思わないのか」
「そんな歳には見えないな」
「だが、事実だ」
「疑っているわけじゃない。その桁違いの魔力容量(キャパシティ)を視たら信じざるをえないさ、そのくらい長いこと修行を積んだ魔術師だと」
「恐くはないのか。何百年も歳を取らない、化け物だぞ。東方に伝わる仙人の話なら私も聞いたことがある。だが私は仙人なんてありがたい存在じゃない、魔女だ。《灰燼の魔女》セリカ=アルフォネアだ」
「なんでそんなに卑下するんだ。いいじゃないか、高い金を出して美容整形だのアンチエイジングだのしなくてすんで」
「そういうお気楽なことを言うやつが今までいなかったわけじゃない。だがそんなことを言った連中も、自分が歳月と共に老い衰えていくのに、私だけが刻に取り残され変わらぬ姿でいると、恐怖や嫉妬を抱くようになる」
「俺のいた国には一〇〇〇年以上生きている鬼だの荒御魂だのがいてな、この国の人ほどあんたのことを怖いだの変だのとは思わん。それに、俺も純度一〇〇パーセントのまっとうな人間とは言い切れない身の上でね化け物≠ネのはおたがい様さ」
「なんだと? どういう意味だ」
「さて、どこから説明すればいいものか……。実は軽く記憶を失っているみたいでな――」
………… ………… ………… ………… ………… ………… ………… …………。
「――な
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