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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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ばどんな相手でも命がけで守るのがきみたちSPの仕事だが、いまやその対象は存在しない。おとなしくぼくたちの傘下に下るんだ」
「自分たちで殺害しておいていけしゃあしゃあと……。我々日本人はテロリストには屈しない!」
「私たちも日本人だ、そしてテロリストではない」
「暴力で無法な権力奪取しようとする連中のことをテロリストと呼ぶんだ」
「立場を利用して私腹を肥やし、権力を得るために巧言令色をならべ立てて選挙民を惑わし、資本家と結託し、挙句の果てに反日国の連中と誼を通じる国賊を断罪する行為はテロルではない。義挙だ」
「彼らは国民によって選ばれた大臣だ。国賊などと勝手なことを言うな!」
「聞け=v
「…………」
「よく考えるんだ、きみだって本気で彼らが選良だとは思ってはいないだろう。汚職政治業者の見本みたいな連中だ。現在の政治がどれほど腐敗し、行き詰まっているか。衆愚政治が横行し、自浄能力は欠片もない。武力で訴える他にどんな方法で粛正し、改革することができるのか。わかるだろう」
「わからん。たしかに今の大臣たちはお世辞にも清廉潔白とはいえない人たちだ、だからといって暴力で粛正してもいい理由にはならない。それに非人道的な暴力を振るってトップに立とうとする貴様らが今後腐敗しないとはとうてい思えない」

 銃把を握る警護官の手に軽く力が入った。呪文を唱えるいとまをあたえず、至近距離から射撃するつもりだ。

「禁人則不能考、疾く!」

 人を禁ずれば、すなわち考えることあたわず。
 いっさいの思考を禁じられた警護官の手から銃が抜け落ちて床にころがる。
 強い意志の込められていた目からは光が失せ、ぼんやりとした表情で虚空をながめている。

「SPなんぞ、しょせんはお上の走狗でしかないな。クズでもゲスでも高い餌をくれるご主人様には服従しますってか」

 警護官の思考を呪術で奪い無力化したのは僧侶のように頭髪を剃った短身痩躯の青年だった。

「彼は損得ではなくもっと高潔な思想のもと、あえて大臣に仕え、こちらの誘いを断ったかのように見えたよ。これからの、ぼくたちの創る世の中には必要な人材だ」
「それよりも法源(ほうげん)、なにをしに来た」

 夏目が誰何の声をあげる。

「君にはことが済むまで前帝のお相手をする務めがあっただろう」
「大連寺さんの薫陶を受けた御霊部の方々は優秀だ、なので彼らに任せてきましたよ。部外者の俺なんぞがいつまでも出張っている必要はないでしょう」
「まったく勝手な真似を……。今回の任を志願したのは君のほうからだぞ」
「いやなに、天皇陛下というくらいだからさぞかし威厳のあるお方かと思ったらそうでもなかったのでね、正直拍子抜けしてすぐに飽きてしまいました。ほかの皇族の方々も凡庸で、とても神の末裔とは思えぬ
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