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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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ために
政
(
まつりごと
)
をする要職に就いたのか?」
「…………」
「正直に答えよ=I」
「お、おれたちは子どものころ、他人が遊びまわるのを横目に必死で勉強してきた。好きなことも我慢して恋人も友人もつくらず、くだらん小説や漫画も読まずにひたすら勉強してきた、それもこれも税金を好き勝手に使える身分になるためだ」
「そうだそうだ」
「すべておれの才能と努力の結果だ。それを平民どもが嫉妬しやがって、うらやましいならおまえらも政治家になってみやがれってんだ」
「そうだそうだ!」
「それができないのは平民どもがおれたちとちがって劣っているからだ、おれたちは愚鈍な平民どもとは種類がちがうんだ、選ばれた特別な人間なんだ。平民どもは黙っておれたちの決めたことに従っていればいい。税金を納めろと言ったら納めろ。使途についてあれこれ文句を言うな、そうすればお情けで生かしておいてやる」
「そうだそうだ!!」
「日本を支配し、平民どもの生殺与奪の全権をにぎるのはおれたち国家権力者だ。消費税一〇パーセントでゆるしてやっているだけありがたく思え、なんなら三〇パーセントにしてやるぞ!」
「それはいい、日本中の貧乏人が餓死してしまうかもしれないがな」
「納税の義務も果たせない貧乏人なんぞいっそ死んでしまえばいい」
「ウェーハッハッハッ!」
閣僚たちは口々に自国民を貶め、蔑視する発言をする。だが威勢のいい口舌とは裏腹に彼らの表情は青ざめ、脂汗を滝のように滴らせていた。
自分の意思で口に出しているのではない。心中に秘し、墓場どころか地獄の閻魔にもだんまりを決め込む本音を甲種言霊の力によって強引に吐露させられているのだ。
「……都では藤氏の長者が、地方では国司たちが専横をふるっていた頃となんら変わらないな、この国は。かつて『ぼく』は国府を襲い無益な殺生を犯した。あのような暴挙は二度とするまいと誓ったが、おまえらを見て気持ちが揺らいできたよ」
「政治の腐敗がいかに人民をして辛酸をなめさせるか……。この者らの処遇、新皇陛下の御意のままに」
「判決、死刑」
多軌子がそう口にした瞬間、悪徳政治業者たちの身に残酷で無慈悲な死罰が下された。
ある者は見えない刃に首を刎ねられ、ある者は見えない力で押し潰される。四肢をねじり切られた者、灼熱の炎に焼かれた者、全身の血液を凝固させられた者、骨が粉々になった者――。
富と権力をほしいままにし、この世の春を謳歌していた一〇数人の大臣たちは一瞬で血肉の塊と成り果てた。
なんの力も脈動も感じさせない、ただ言葉のみ、ひとことのみで滅したのだ。
それは霊力を呪力に変換する、術式の構成、呪力の操作などの行程。あるべき課程が一切はぶかれた『結果のみが顕現した力』であり、常人のもちいる呪術とは一線を画す力であった
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