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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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だ巡航ミサイルのほうは……」
マイク越しの自衛官の声が自信なさそうにしぼんだ。巡航ミサイルはあらかじめ地形をインプットされて低高度を飛ぶうえに赤外線レーダーにはほとんどひっかからないためキャッチするのが非常にむずかしい。
「ええい、そんなことで国が守れるか!」
玉上が見当ちがいの怒りを爆発させたとき、無機質な室内に似つかわしくない、玲瓏な声が響いた。
「ぼくが行こう」
「陛下……」
背後から現れた多軌子と夜光の前に平伏する玉上。この男は呪術の才こそないが夜光の思想に傾倒している親陰陽師派で、先のクーデターのさいは夜光のたのみで自衛隊の一部を指揮して在日米軍の動向を注視していた。
「いずれ、このようなことが起こると思っていた。むこうから手を出してきたのはむしろ好都合だ。日の本に弓を引いたこと、後悔させてやる」
自信に満ちた笑みを残して多軌子と夜光は姿を消した。
空を突き抜け、光の箭となって成層圏を突き抜けた多軌子たちは漆黒の闇につつまれた宇宙空間へと飛び出していった。高度一〇〇キロで上昇を止める。ICBMが発射された場合、大気圏外で迎撃する必要があるが、弾道ミサイルと巡航ミサイルはそれ以下の高度で撃ち落とす必要がある。これは両者を迎撃するぎりぎりの高さなのだ。
空に白い軌跡を刻みつけて飛来するミサイルが遠目に見えた。小型の弾道ミサイルが散り散りに飛んでくる。そのうちの一発に天から放たれた白い光が貫き、赤い炎をあげて爆散した。
衝撃波が空を駆け抜け、多軌子と夜光の身を守る呪力の
盾
(
シールド
)
が空気摩擦で淡く光る。
「ミカボシか、上出来じゃないか」
いまの光は重工業メーカー富士川重工と陰陽省開発研究部の共同制作によって造られ、自衛隊に配備された人工衛星型機甲式ミカボシによるものだ。
マグネシウム濃縮ガスに霊力炉のエネルギーをぶつけて無数の電子を生み出しそれを直径三〇センチの束にして目標に撃ち込む。地上500キロの低高度衛星軌道から放たれるエネルギーの箭がミサイルを撃ち落としたのだった。
威力と命中精度はもうしぶんない。だがいかんせん一機しか完成していないため、すべてのミサイルを無力化することは不可能だ。
「光よ……」
多軌子が両腕を掲げて念じると、周囲の空域にプラズマが生じ、それが凝縮して無数の巨大な矛になった。矛は稲妻となって空を突き進む。いくつもの閃光、次いで轟音を生じさせてミサイルが爆発していく。
「――高天原天つ祝詞の太祝詞を持ち加加む呑んでむ。祓え給い清め給う――祓え給い清め給え――」
ミサイル迎撃を多軌子に任せた夜光は最上祓いの祝詞を唱え、放射性廃棄物の浄化に専念する。
本来ならば霊的な障りを鎮静化する術でこのようなことができ
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