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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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陽師たちは日夜研鑽を積んでおのれを高めているという自負がある。そのような考えの者にとって株によって財を築いたブルジョワたちの破滅は小気味良いものであり、いっときの経済的な困窮をよそに、呪術の革新に奔走した。
 なにせいまは夢にまで見た未来。陰陽術が花開く理想の世界そのものなのだ。彼らはそう信じて疑わない。そして気づかない。
 支配する手段が富や権力から呪術に変わっただけで、自分たちが傲慢で醜悪な支配者になりつつあることに――。



 先進国の所得が多い上位一割の富裕層と下位一割の貧困層との所得格差は一〇倍近くあるという。それの呪術版、富のあるなしではなく呪術(ちから)あるものと呪術(ちから)なきものの格差が広がりつつあったその日、新たな改革がなされた。
 国民総陰陽師化計画。
 霊気の流れや霊的存在を感じ取る能力、陰陽師にとっては必須となる見鬼を付与し、呪術を使えるようにしてしまおうというものだ。見鬼の才は基本的に先天性のものだが、特殊な呪印を額に刻むことでアージュニャー・チャクラを開花させて後天的に付与することに成功した。
 たんに呪術を使えるようになるだけではない。陰陽師たちは呪印を通じて新宿に建てられた風水塔からの呪力を引きだすことが可能になったのだ。そのため生粋の陰陽師であるにもかかわらずみずから望んでこの施術を受ける者も続出し、それまで個人の資質に左右されるという束縛を受けていた呪術は、ここにきてさらなる進歩を遂げることになる。
 もっともこの処置には問題もあった。風水塔と霊的につながることによって自身の呪力霊力が逆に向こう側に吸収される可能性があり、そうなってしまった場合いっさいの呪術が使用できなくなる。またなんらかの理由で塔が制御不能になりキャパシティを超える呪力が流れ込んできたさい、その負荷に耐え切れず精神が焼き切れ良くて廃人、悪ければショック死してしまう危険があるのだ。
 そのため思慮のある陰陽師の中には、あえてこの魅力的な能力増加を拒否する者もいた。



 経済制裁をものともせず(実際は痛手になっているのだが)発展を見せる日本の姿にもっとも焦燥したのは中国だった。帝と称する者を頂点に『戦犯』土御門夜光が陰陽術という血塗られた軍刀、侵略の象徴をもちいて繁栄する姿はかつての大日本帝国を彷彿させ、日本人の想像する以上に彼らの神経を逆なでしたのだ。

〈核さぁ、撃ってみたくね?〉
〈同感、我が国のもっとも優れた武器は核ミサイルだ。東京に核ミサイルを落としたら妖術師たちは全滅するだろう〉
〈せっかく持ってるのに撃たないってもったいないよねー〉
〈一発撃ちこみゃ小日本人どもも頭を冷やすだろう〉
〈あの思いあがったゴキブリ民族どもに思い知らせるには、それしかない〉
〈オレのじいさんは、9歳にして日本人に殺
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