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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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イプ・キマイラの一種としてあつかわれていたが、タイプ・フードという正式名称がつけられ普及した。最初のうちこそ気味悪がれ、積極的に口にしようとする者は少なかったが、ほかに食べる物がなければしかたがない。それに日本人はもともと成長ホルモンを投与された牛肉を食べ、残留農薬たっぷりの冷凍野菜を食べ、抗生物質入りの餌を投与された養殖魚を平気で食べていたような連中だ。すぐに新たな食料を受け入れた。
 このような発明によって最低限のライフラインは確保できるようになり、生活が安定したら次は娯楽だ。
 呪術の偉大さと利便性。呪術大国日本の技術を誇示するため、呪術によって幾多の特殊な娯楽施設や建造物が造られた。
 地中農園の建設によって生じた大量の岩石を利用し、空中都市タカマガハラを建造。環状列石の呪力によって重力を打ち消し、街全体が浮遊している。
 海原を自由に行き来するふたつの海上都市、アズミとイソラ。
 海底資源の採掘用に造られた深海都市ワダツミ。
 富士の樹海に造られた樹上都市ククノチ。
 幻覚都市マホロバ。東京湾にある孤島に時間と空間を歪めて作り出した人工の『理想郷』。衣服、食料などすべてが幻術で作られ、飢えも病気もなく働く必要もなく、そこに暮らすものは歳をとることさえなかった。――ただしこの島に足を踏み入れたものは二度と外へは出られず、後期高齢者と心身に障害のある者しか島へ渡ることはできない。

 このように呪術を礎とする華々しい業績のいっぽう、諸外国からの経済制裁によって日本国民は苦しめられていた。アメリカをはじめとする国々が日本に債務不履行を宣言したのだ。
 債務不履行とは簡単に言ってしまえば借金を返さないということで、海外に投資した資金はすべて水の泡になってしまった。
 ドルと呼ばれる紙くずの山をかかえて飢え死にする――。株の大暴落によって投資家たちは恐慌におちいった。億単位の負債をかかえた証券会社や不動産会社、金融会社の倒産があいつぎ、株の暴落で破産し、自殺する人も多く、一家心中が続出した。証券会社の重役が破産した人に殺害される事件が連続して起きた。

「欲ボケした愚民どもには良い薬だな。だいたい学生だの主婦だのが株を買って儲けようとするのが異常なんだ」
「子どもたちにまっとうに働くことの大切さや物作りの喜びを教えるのではなく、株や投資といった人様の上前をはねるマネーゲームを教えるような国は滅んでとうぜんだ。おれたちの創る国にはそんな堕落者はいらん」
「他所の国の資産だの資源だのはあてにならん。外国の顔色をうかがうことで生活を維持するのではなく、日本は日本一国で栄える力を手にするのだ」
「小国寡民、大いにけっこう。夷狄の落とすあぶく銭にたよらず、自給自足で暮らしていこう。呪術があればそれが可能だ」

 新時代の主役である陰
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