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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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による改革だ。
二度の大改革はどちらも市民が自発的におこなったものではない。明治維新は薩摩や長州出身の有力者たちの手によって一方的に断行され、第二次大戦後の改革は日本を占領したアメリカ軍の手で強引に実行された。ふたつとも上から力ずくでおこなわれ、しかもそれを日本人はほとんど無抵抗で受け入れたのだ。
「もうチョンマゲやサムライの時代じゃない。ザンギリ頭をたたいてみれば文明開化の音がする」
「これからは民主主義の時代だ。野蛮な軍国主義なんてナンセンス。過去のことは忘れて新しい日本を創ろう」
日本人にとって改革とは上から力ずくで押しつけられるものであり、それにすぐ「慣れ」てしまう。改革に抵抗するのが悪なのではなく、空気が読めない、流れに逆らうのが悪なのだ。ためらう者や疑問を感じる者は置き去りにされてしまう。
その結果として改革にともなう破壊と流血が最低限に抑えられたのも事実だ。明治維新のときにも多くの血が流れたがフランス革命やロシア革命にくらべれば犠牲者は少ない。それどころか江戸幕府の最後の将軍である徳川慶喜は明治時代になってから公爵の位を授けられている。慶喜だけではない、諸藩の大名や公家たちも華族に列せられている。
旧体制の最高権力者が革命後に新体制の貴族になっているのだ。
旧体制の支配者を新体制が貴族として迎える。というのは旧体制の不満をやわらげ反抗の意欲を削ぐ、なかなか上手いやり方だ。
多軌子もそれに倣い、禅譲をした先の天皇には平成王の位を与え、その一族を丁重にあつかったのだが、旧体制の政財界に対しては苛烈かつ冷酷であった。
「いいですか、姫。所得の不平等が経済の衰退を引き起こすのです。貧しい者は消費に余裕が無く、豊かな者は所得の一部のみを消費に当てるだけの状態になり市場は供給過剰に陥る。その結果、商品需要の不足が発生するため豊かな者は貯蓄に励み生産に再投資しない。この貯蓄の増加が経済的均衡を崩す結果を生み、生産縮小のサイクルが――」
「よきにはからえ」
いくつもの省庁が再編され、不必要と判断された部局や機関が廃止された。
利益を社会に還元せずに暴利をむさぼっている企業に対して『反社会的である』と断罪し、経営者陣を逮捕。財産を没収し、会社からは多額の罰金を徴収した。
特に電力会社を全面国営化にするにあたって、親陰陽師派以外の幹部・役員たちの多くは失脚させられ、総入れ替えがなされた。
この陰陽師たちによるクーデターとそれに続く大改革、時代に逆行する専制君主の誕生は世界各国に大きな緊張をもたらし、非人道的な政策の数々は全世界の非難をあびた。
特に陰陽術の軍事利用に対しては先の戦争で直接交戦したアメリカと、日本に侵略されたアジア諸国からの猛反発があった。
「唐は唐、日本は日本。唐の紙屑ばかり
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