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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 12
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した」
「なにせ消費税が福祉に使われているという証拠を見せろ。という者すらめったにいないからね、福祉という言葉を聞いただけで思考停止してしまうんだよ、この国の人たちは」
「……いやね、わたくしがひそかに危惧していたのは、福祉予算は一般財源から優先的に出すようにして、消費税は軍事予算にまわしたらどうだ。という皮肉な意見が出ることでした」
「そこを突かれると痛いわなぁ、増税分が軍事予算にまわるとなると、さすがに一般の人らは反対するよ」
「しかしだれひとりとしてそんな意見を述べる者はいませんでしたな」
「利口者がいなくなったのかねぇ」

 すると首相の腰巾着である一億総クールニッポン大躍進担当大臣が口をはさんだ。

「ふゅひゅひゅ、けっこうなことじゃないですか、我々の陣営以外に利口者がいなくて。野党は無能なうえに内部抗争ばかり、マスコミは公権力に対する批判能力を失い、国民はなんどだまされても懲りない愚民ばかり。だからこそ我々がこうして甘い汁を――あ、いや実力に応じた正当な利益を得ることができるんじゃないですか」
「まったくだわなぁ、愚民万歳!」

 ニュース番組などの街角レポートで「だれに投票してもいっしょ、選挙も政治も興味ない」と答える老若男女を見るたびに、首相は小躍りしたくなる。
 日本に議会制度が導入されてから一世紀以上経つにもかかわらず、そんな考えをしている人々こそが首相の権力をささえてくれるのだ。
 政治が自分たちの生活に直結していることも理解できず、芸能人の不倫騒動だの課金ゲームだのに一喜一憂している。これでは首相のような人物から愚民呼ばわりされてもしかたがない。
 
「おいそがしいところを失礼します」

 雑談の終わったタイミングを見はからい、背広姿の男が声をかけてきた。
 大手新聞社の論説委員をつとめ、記者クラブにも籍を置く大物記者だ。政府にべったり密着した人物で、首相個人ともつき合いが長く、世間からは御用記者などと揶揄されている。
 どこからか陰陽法改正についての話を聞きこんできて、改正に賛成する意見が多数を占めつつある。ということを記事にしていいか訊いてきたのだ。

「陰陽法改正だなんて、日本人としては絶対に阻止しなきゃならんことだよ、君。そんなことをしたら諸外国からどれだけ非難されることか」

 神道、密教、修験道、道教、陰陽道――。
 先の大戦時、日本に存在するありとあらゆる呪術は軍事目的に統括・編纂された。外国人や一部の日本人の感覚では呪術=軍事力にむすびつくのだ。
 霊災の修祓以外での呪術の使用を認めるということは、戦争や武力による威嚇、武力の行使を放棄すると決めた日本国憲法の破棄につながってくる。
 保守的な首相には到底受け入れられることではない。

「そんなことが話題になるこ
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