第二章
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「そんなこと止めさせないと」
「給養員が余計につけあがるっていうんだね」
「人も出させてると」
「そんなことをさせてると」
「そうですよ、そもそも当然じゃないですか」
何が当然かというと。
「給養員が御飯作るのは」
「それはそうだけれどね」
「それが仕事だからね」
「だからそれを偉いって思うのは当然だよ」
「そのことは」
「それで何で偉いんですか」
また目を怒らせて言う奥野だった。
「当然のことをしてるのに」
「それがね」
「何故か勘違いしてね」
「偉そうにしていて」
「教育隊にも人を出させて」
「余計に偉そうにしているんだよ」
「それは何とかしないと」
奥野は個人的な嫌悪を込めたまま言う。
「駄目ですよ」
「果たしてどうなるかだね」
「給養員については」
「うちの基地も酷いし」
「何ろかしないとね」
「そうですよ、あいつ等を自分達が偉いと思わせら駄目ですよ」
とにかくこう言う奥野だった、彼の思うことは基地のことよりも給養員達への嫌悪の方が先だった。
だがそれでも給養員達の専横は事実でだ、それでだ。
彼はいつも給養員達を抑えるべきだと主張していた、自分達が偉いと勘違いしているのを何とかしろととだ。
そんな矢先だ、彼が当直で日曜だが基地にいて夕方に食堂に並んでいたその時にだった。
食堂で人がかなり並んでいた、それを見てだった。
彼はいぶかしむ顔になってだ、こう言った。
「何だあれは」
「何かおかしいですね」
別のところで当直をしている基地の司令部で勤務している彼と親しい椎名公輝士長が応えた。丸い顔の大柄な体格の持ち主で温厚な性格である。年齢は椎名の方が一つ下だ。二人は食堂に行く途中でたまたま一緒になったのだ。
「休日なのに並んでるって」
「ああ、どうしてなんだ?」
「皆今は外出していて」
「残っているなんて少しなのにな」
教育隊で教育を受けている隊員達もだ、外出しているというのだ。
「それでもこんなに並んでるとかな」
「ないですね」
「本当にどうしてなんだ」
奥野は首を傾げさせて椎名に話した。
「一体」
「私もおかしいと思います」
「今日は食事をよそおう食事係いないけれどな」
休日なので外出している隊員が多いからだ。
「どうしてなんだ」
「そこがわからないですね」
「本当にな」
二人でいぶかしみながら列が進むのを待っていた、列は遅い進行だったがそれでもだった。
二人が食事を受け取る番になった、料理の場所にはしっかりと給養員が二人いたのだがその彼等は。
何とだ、その彼等は。
食事をよそうことなく奥野達の前で談笑をしていた、料理のところにそれぞれおたまが入れられていてそれで入れろということだった。
そのことはわかった、
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