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ワイン漬け
第三章
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「ご主人らしい、そしてご主人にとってこのことは」
「幸せなことですね」
 妻として夫のことを察しての言葉だ。
「そうですね」
「おそらく、ですから」
「このことはですね」
「非常にいいことかと」
 亡くなったルクランにとってはというのだ。
「彼も満足でしょう、血や涙まで愛するワインになって」
「そうですね、では私達は」
「そのご主人の冥福を祈りましょう」
「わかりました」
 夫人はクレスパンの言葉に微笑んで頷いた、そしてだった。 
 二人は血や涙が彼が笑って言った通りワインになってそのうえで世を去ったルクランの冥福を祈った。それは彼にとって満足だったことであろうと思いつつ。


ワイン漬け   完


                 2017・9・17
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