第二章
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「昨日までの制服着てね」
「ズボンで」
「そうしてね」
「じゃああの制服ね」
緑のブレザーとストライブのネクタイに灰色のズボンである。
「あの制服を着て」
「学校に行きなさい、いいわね」
「わかったわ」
「とにかくね」
母はまた言った。
「世界中どうなったのか」
「それね」
「女の子ばかりになるなんて」
またこう言うのだった。
「わからないわね、しかし」
「しかし?」
「これがどうなるのか」
それこそとというのだ。
「わからないわ」
「父さんも会社に行くわ」
信秀も言ってきた。
「今からね」
「そうよね」
「そうしないといけないから」
「うん、ただね」
「ただ?」
「お父さん縮んでない?」
信長はここで父の背の話をした。
「何か」
「そうかしら」
「男の人の時は一七五だったわよね」
その背丈がというのだ。
「今は一六四位ね」
「そうなの」
「そう見えるわ」
「そう言うあんたもよ」
母が息子に言ってきた、トーストとオムレツを出しながら。
「十センチは低くなってるわ」
「そうなの」
「胸もかなり大きくなって」
「そういえば」
言われて胸に気付いた。
「凄いわね」
「そうでしょ、外見かなり変わったわ」
「女の子になっただけじゃなくて」
「そうしたところもね」
背丈や胸もというのだ。
「まあとにかくね」
「ええ、御飯食べたら着替えて」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「学校に行きなさい」
「わかったわ」
二人で話してだ、そしてだった。
信長は朝食を食べていつもの制服に着替えて父と共に家を出たが道を行く人の誰もがだった。
女の人ばかりだった、皆話題は今の世界のことばかりだ。
そしてだ、さらにだった。
学校に行くと女子高になっていた、もう誰が誰かあわからずだ。
信長は自分の席に座っていたがその彼に赤髪にツインテールの小柄な女の子が声をかけてきた。
「田上信長ちゃん?」
「ええ、そうよ」
ズボンを穿いたその少女に応えた。
「私はね」
「あの、私長野智昭よ」
友人の彼だというのだ。
「朝起きたらね」
「そうなってたの」
「皆と一緒で」
女の子になっていたというのだ。
「どういう訳か」
「そうなのね」
「あの、どうなるの?」
かなり戸惑った顔でだ、智昭は信長に尋ねた。
「世界中女の人しかいなくなったけれど」
「急にね」
「男の子がいなくなって」
「こんな有様になって」
「どうしてこうなったか」
「どうなるのか」
「子孫どうなるの?」
このことも不安視された。
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