第二章 鈴木と鈴木
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では練習をする前に準備運動してからグラウンド5周してきてください」
各々準備運動をし始めグラウンドを走り出す。
俺は短距離には自信があるが長距離は大したことない。
宗人は競争したいと駄々をこねてたが無視してやりすごす。
「はい、では5分休憩して行進の練習に移ります」吉川部長が指示を出す。
午前中は休憩も挟みひたすら行進、陣形やリズム、足の揃え方を緻密に練られていく。
「5メートル8歩、歩幅をきちんと意識してください。前、横、列の流れをちゃんと見て!」
ホイッスルを首からかけた吉川部長が険しい顔で檄を飛ばす。
ただ行進するだけならいいが楽器を持って、となると疲労度合いが格段に上がる。
午後からはパートごとに分かれての練習だ。
初めは8人でやっていたが加藤先輩とさっちゃんが後藤先輩に個別指導されることにより5人で仕切り直す。
「夏紀、ミスが多すぎるんとちゃう?ちゃんと暗譜した?」長瀬先輩の問いに中川先輩はバツが悪そうな顔をする。
「明日には次からはちゃんとできるように覚えてきてや」
「ほんまごめん、完璧に覚えとく」
最後に全体での通し練習を終え、今日の練習が終わる。
「あれ、帰っちゃうの?」鈴木さんが帰ろうとするところに加藤先輩が声をかける。
「ええ、練習は終わりましたので」
「でも…」
「そうだよみっちゃんもうちょっと一緒に練習しようよ」
「その呼び方はやめてって言ってるやろ!」声を荒らげ、背を向けると早足にその場から去っていく。
加藤先輩とさっちゃんが狼狽えて「謝りに行く?」と言うと後藤先輩は
「謝ることなんてない、練習続けるで」
「卓也君…」
「あいつの癇癪にいちいち付き合う必要ない」
完全に険悪なムードである。そんな時中川先輩が
「ちょっとそこのおふたりさん、頼みがあるんやけど聞いてくれる?」
「えぇ…と」声をかけられた2人は乾いた笑みをこぼす。
「久美子と奏で美玲をフォローしたって、2人はちゃんと演奏出来てるし問題ないやろ?」ほら、と急かすように背中を押されていた。
「神木もあっちに派遣されたかった?」
「いえ、僕は多分…そういうことは向いてないので…」
「そっか…神木は久美子と幼馴染なんやろ?」
「はい、小学校の2年生の時に久美子先輩が僕や秀一君と同じマンションに引っ越してきた時からの付き合いです。それから小学校の頃はよく一緒に遊んでました」
「へ〜なるほどね、久美子は高校に入って変わったと思う?」
「そうですね、何か役職をするようなタイプの人ではなかったですし、周りに対してあまり興味を示すこともなかったので今の久美子先輩を見てると変わったと思います」
「そうなんや、まあ確かに入部当初はそんな感じだったかも…でも去年滝先生が赴任してきて部の空気が変わって、それから色々あってさ…それで
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