第二章 鈴木と鈴木
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「まあまあ…友恵はちゃんとやってた?」中川先輩は質問を続けた。
「はい、すごく助かりました。私緊張してテンパってたときも察してくれて代わりに進めていただいたし」
「そりゃよかった、友恵ああいう性格やから心配しててん」
「加部先輩って去年の全国大会の時出てませんでしたよね?」
「あぁ…友恵はうちと同じBメンバーやったから」
「なるほど…ではやはり先ほど言っていたAメンバーに先輩が優先されるということは本当にないみたいですね」その言葉に久美子先輩は一瞬ムッとした表情を浮かべ、話題を変える。
「そういえばさ、奏ちゃんはなんで同期にまで敬語なの?」
「別に全ての人間に敬語で話しているわけではないですよ、親しくない相手にタメ口で話すほど神経図太くないです」
「あ〜なるほどね…仲良くならないと敬語以外使わんってことか?」
「正解です神木君」にこりと完璧な営業スマイルを振りまく。
全てが計算された行動に見えてくる。
「そりゃどうも…」水面下でバチバチと火花が散っていた。
そんな険悪な中、コントラバスの2人はいつのまにか師弟関係となっており求は川島先輩の言うように黙々練習に励んでいたのだ。
土曜日 AM7:50
今日は初めての休日練習でありサンフェスの練習でもある。
何故か早くに目を覚ましてしまった俺は集合時間である9時よりも1時間以上早く学校に着いてしまった。早すぎたと思ったがもう既にいくつか楽器の音がちらほら聞こえてくる。それをBGMに低音パートの練習教室である3年3組の前まで来てドアを開けながら
「おはようござ………。」目の前の光景を目の当たりにし時が止まってしまう。
「あっ…あっ…」中川先輩が顔を赤くして硬直している。
まさに中川先輩が着替えているところにドアを開けてしまったのだ。ようやく頭の整理が追いつき「し、失礼しました!!」と半分叫ぶような声でその場をあとにした。
10分後 練習教室
楽器を取りに行ったあともう大丈夫かと思い恐る恐るドアを開ける。
「おはよ…」不機嫌そうな声で挨拶される。
「お、おはようございま〜す…さっきはすみませんでした」
「まぁ…うんさっきのことは忘れて…うちもこんなとこで着替えてたんが悪かったし、まだ早いからって完全に油断してたわ」
「忘れます!はい、今忘れました!」
「ふふ…ありがと」
「2人とも早いな」
「2人ともおはよ〜」後藤先輩と長瀬先輩が一緒に入ってくる。
「おはようございます!」
「おはよ、夫婦で登校なんて朝からお熱いね〜」中川先輩が意地の悪い笑顔でそう返す。
AM9:00 グラウンド
「皆さんおはようございます」
「おはようございます」滝先生の声に部員全体が返す。
「今日からサンフェス本番まで毎週土曜日はグラウンドで練習することになります。
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