第二章 鈴木と鈴木
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同日PM5:40
昇降口を出てすぐの階段に座りユーフォの入った楽器ケースを自分の隣に置いてボーッと運動部の練習を眺めていた。しばらく使われていなかった楽器室にあったこのユーフォは家に持って帰って手入れするつもりだ。
「遅いな〜」そう一人呟きながら特にすることもなくただ時間だけが流れていった。
それから待つこと10分、ようやく後ろから声がした。
「すまんすまん遅くなったわ」
「あぁ〜」と脱力した声で返事をしながら振り向く。
「めっちゃ待った…秀一君!?」
「よぉ!お待たせ!」手を上げて応えてくる。
「どや、秀一君連れて来たったで!今日は久しぶりに一緒に帰ろうってなってん」宗人がドヤ顔になっている。
「そりゃどうも…いいんすか?わざわざ」
「いいもなにも同じマンションに住んでるんやから…」
「それはそうだ…」
一緒に下校なんて2年ぶりくらいか、小学校のころは毎日のように一緒に帰っていたが中学校ではたまに程度だった。同じマンションに住んでいてもバッタリ会うなんてことは案外無いのだ。最後に会ったのは今年の正月の挨拶の時だろうか。
「久美子はもう帰ったんか?」
「いえ、なにか仕事があるとかで」
「そっか…」
「そういえば、秀一君と久美子先輩ってもう仲直りしたんすか?」
「あ〜そういえばありましたね「喋ってくんじゃねーよブス!」事件」2年前のことを思い出した。
「まぁ〜あの時はビビったね、部員の空気は凍るし久美子先輩はキレるし」
「そうですよ、あのあと久美子先輩に誤解だ〜!ってフォロー入れるの大変だったんですからね?なあ宗人」宗人と俺は交互に文句を垂れる。
「あの時は悪かったって、ちゃんと高校入ってすぐ謝って仲直りしたから」
「それで秀一君と久美子先輩、もう付き合ってるんですか?」宗人が聞く。
こいつド直球に聞いてくるな〜と思いながら正直自分も気になっていた。
「はぁ!?なんや急に」いきなりのぶっ込みに声がうわずっていた。
「いや、だってわざわざ高校まで追いかけてくるくらいですし」
はぁ…と頭をガシガシ掻きながら観念したように
「実は、この冬に…つ、付き合った」
「うおー!まじっすか!?」二人が驚くと同時に
「おーおーさっそく後輩にノロケ話か?」
秀一君はビクッと反応しその声の方に視点を変える。そこには3年生4人の姿が見えた。
「あっ…」
その声の主はニヤっとしている。
「ちょ…聞いてたんですか?吉川部長!」
「聞いてたんやない、たまたま聞こえてきたんや!それと一応言っとくと確心はなかったけどアンタと黄前がそういう関係なんやろな〜ってのは感じてたからな!うちが気づかんとでも思った?」そう言って自慢げに胸を張っている。
「マジですか…?」
「マジや!なぁ?夏紀?」
「まぁ…うん」
「へ〜うちは
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