第一章
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バースディ
和田沙織は厚めのピンクの唇に少しエラが張った顔の形をしていて目が睫毛が長く大人びたものだ。長い黒髪をいつも奇麗に整えている。
一六四位の背で見事なスタイルをいつも気品のある感じの服で包んでいる。その沙織に対して。
交際相手の塩谷浩輔は尋ねた帽子が似合う面長でやや鋭い目に引き締まった唇を持っている。背は一七二位で痩せた身体にジーンズがよく似合っている。
「そろそろ誕生日だったよな」
「はい」
沙織は浩輔に奇麗な声と見事な礼儀作法で答えた。
「そうですが」
「いや、別に敬語いいから」
浩輔は沙織にいつも言っていることをここで言った。
「別に」
「そうなのですか?」
「だって俺達交際してるし」
それでというのだ。
「そんなことはな」
「いいですか」
「別にいいだろ」
「ですが浩輔さんが二つ年上なので」
「それでか」
「しかも同じ大学の先輩なので」
交際していてもというのだ。
「ですから」
「敬語なんだな」
「礼儀作法は守ります」
「沙織ちゃん真面目だな、まあそれは置いておいてな」
とりあずえ本題に入ることにしてだ、浩輔は話題を変えることにした。二人が通っている大学の喫茶店で同じ紅茶を飲みつつ話している。
「沙織ちゃんそろそろ誕生日だよな」
「二十歳のですね」
「そうだよな」
「はい、今月の二十九日です」
「そうか、じゃあな」
「じゃあ?」
「楽しみにしておいてくれるか?」
こう沙織に言うのだった。
「そうしておいてくれるか?」
「まさか」
「そのまさかだよ」
浩輔の返事は強いものだった。
「やっぱりこうした時はな」
「プレゼントですか」
「彼氏がプレゼント送らないでどうするんだよ」
それこそというのだ。
「そうだろ」
「それは」
「まあこの世の中の不文律っていうかな」
「そうしたものですか」
「だから楽しみにしておいてくれよ」
沙織に対して言うのだった。
「いいな」
「そうですか、では」
「さて、何を出すかだな」
「では」
沙織は自分の紅茶、ホットミルクティーを飲みつつ浩輔に応えた。浩輔はストレートのホットだ。
「その時に」
「こうご期待だな」
「そうさせてもらいます」
「じゃあこの話はこれで終わりだな」
「その時まで、ですね」
「待っていてくれよ」
「そうさせて頂きます」
沙織は浩輔ににこりと笑って応えた、そしてだった。
この話が終わったところでだ、浩輔にこんなことを問うた。
「ところで浩輔さんは最近いつも帽子ですが」
「被ってるっていうんだな」
「はい、どうしてですか?」
今も被っている、ニューヨークヤンキースのキャップ帽だ。
「それは」
「ゲン担ぎだよ」
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