EX回:第35話(改2)<反撃と加勢>
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処かしら?」
龍田さんは、そう言いながら近くに居る敵の駆逐艦の掃討に専念しているようだ。
続けて無線に入る鈍い金属音。それだけ聞いていると怖いな……。
『私も加勢するよ!』
「あれ? この声は……」
『島風!』
下で誰かが叫んだ。
ブルネイの島風が武蔵様に付いて来たきたらしい。
『こいつが、どうしても来るって聞かなくてな。脚の遅い私に……』
武蔵様は恥ずかしそうに言う。
だが島風は気にも留めていないようだ。
『関係ないもん。5連装酸素魚雷! 続けて連装砲ちゃんも行っちゃってぇ』
武蔵様の砲撃と島風の魚雷攻撃で敵の主軸の勢いは、かなり削がれた。
ところが形勢が不利になったと見た敵の駆逐艦が捨て身の魚雷攻撃を赤城さんに仕掛ける。
『赤城お姉さま! 危ない』
比叡が叫ぶと赤城さんも気付いたようだ。しかし至近距離で回避できない。
「……!」
無線を聞いていた機内の艦娘たちにも緊張が走る。
直後、大きな爆破音……だが妙な感じだ。
赤城さんが叫んだ。
『武蔵さんっ!』
どうやら武蔵様が前に出て彼女を庇い魚雷を全身で受け止めたらしい。
『ふふ、大丈夫だ。数本くらいなら平気だ』
無線を聞きながら私は言う。
「いや平気だとは言っても魚雷の直撃だぞ」
参謀も返す。
「あぁ、普通の艦なら一撃で沈んでもおかしくないだろう」
『当ててこい! 私はここだ!』
無線越しに聞こえる啖呵。まさに凄まじい勢いだ。そこまで言いきれるのは武蔵様くらいだろう。
寛代が伝える。
「敵空母、沈没1、大破1。既に相手側の制空権は失われている。戦艦、大破1、中破1。駆逐艦被害多数。数隻は、既に沈没した模様」
あと、もう少し押していけば私たちの勝利だろう。
「艦娘たちも何とか回収できそうだ」
だがその期待は、あっけなく裏切られた。
「あれを見ろ!」
技術参謀が指差す方向に青白い雲……その中に妙な電光が飛び交っている。
「よりによって今、出現か!」
私は呻くように言った。
「司令、チャンスだぞ! このまま直進させろ!」
技術参謀は私に命令するが私は渋った。
「機長! まだ突入するな!」
その言葉に技術参謀は疑いの顔を向ける。
「何を言っている司令! 戻りたくないのか?」
「……」
私はただ無言で、その雲を眺めるだけだった。
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