六 不可視の領域
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と何かを契約しているそうだが、定かではない。
何れにしても、手練れの忍び九人がかりで、それも三日三晩掛けてようやく可能となる術を、たった一人で行うという。
「普通なら、ありえねぇと一蹴するところだが…」
「ナル坊なら仕方ねぇな、うん」
サソリとデイダラは呆れたようにお互いに顔を見合わせる。
ナルトが何をしているか気になるのは山々だが、覗いたところで見えはしないし、聞こえはしない。
結界が施されているからだ。
『暁』のメンバーが脅威と敬意を込めて呼ぶその結界は【不可視の領域】。
たとえ【写輪眼】や【白眼】をもってしても、視ることが決して叶わぬ結界だ。
洞窟の奥周辺に貼られた結界を前に、サソリとデイダラは各自思い思いに過ごす。怠けているわけではなく、待っているのだ。
洞窟から消える直前、ペインから聞いた話はもう一つある。
砂隠れの里から我愛羅を連れ戻しに、追っ手が此処へ向かっているらしい。
要するに、ナルトの邪魔をするな、という言葉は、その間に誰かが邪魔をするならソイツを消せ、という意味と同義。
砂隠れの里で、我愛羅と一戦交えたデイダラがこれ幸いと暫しの休息を取る中、サソリは眉を顰める。砂隠れの追っ手というのが妙に気になった。
人柱力から尾獣を引き抜くのではなく、全く逆の行為が【不可視の領域】内で行われているなんて知りもせず、デイダラとサソリは追っ手を待ち構える。
結界が張られた洞窟の奥は、やはり変わらず沈黙していた。
「……しゅ、かく…」
呆然と我愛羅は呟く。
今まで己の中にいる一尾に怖れ、恐怖してはいたが、真っ向から見たのは今回が初めてだった。
『木ノ葉崩し』の時でさえ、自らの精神を眠らせ、守鶴を呼び覚ます【狸寝入りの術】を使用したのだ。
意識が無く身体を乗っ取られた状態故に、一尾がどのような性格なのかも我愛羅は明確には理解していなかった。
「オレ様の名前を気安く呼ぶんじゃねぇ!!」
釜が大きく揺れ、幾重にも厳重に巻かれた鎖がじゃらじゃら音を立てる。
守鶴が大きく揺れ動いた為に地響きがし、我愛羅は踏鞴を踏んだ。途端、ずしゃり、と何かに埋もれる。
足元を見れば、砂が足首まで覆っていた。
守鶴が封じられている釜から溢れているらしく、寸前の怒声で益々なだれ込んでくる。
砂漠と言っても差し支えないほどの砂で溢れかえったその場は、先ほどまで何も無かったはずだった。
けれども白い空間は、いつの間にか、飴色の光に満ちた砂漠と化している。
砂隠れの里から月夜に見られる、月光が射し込む砂漠と同じ光景だ。
鎖が厳
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