六 不可視の領域
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、誰かに引き留められている。
自分の手首を握る白い指を、我愛羅はまじまじと見遣った。
ゆっくりとその指の先を視線で追う。
指、手、腕と目線を上げてゆくと、太陽のように眩い金色が突如として瞳に飛び込んできた。
今まで白のみに占められていた世界で急に現れたその金に、我愛羅は眩しげに眼を細める。
その金色を認めた途端、周囲も色鮮やかになってゆく。曖昧模糊な白の空間が突然鮮明な世界へと一変した。
輪郭は陽炎のようにぼんやりしているのに、妙に鮮烈に思える。
記憶も思考も薄れかかっている我愛羅は、その声の持ち主によって、まだ自分が存在できていると妙な実感が湧いた。
顔も気配も何もわからなかったが、金色だけがやけに眼についた。
「今の君は、ちっぽけな存在じゃない」
我愛羅の手を握った相手がだしぬけに口を開く。
その不可解な発言に答えようと口を開けた我愛羅は、そこでようやく、この世界が何処で、何であるのか知り得た。
此処は…―――。
「そうだろう?」
自分の手を握っている金色の存在が、急に我愛羅の背後へ声をかける。
その呼びかけに応えたのは、獣の唸り声。物凄い威圧感が全身にひしひしと突き刺さる。
同時に、見知ったチャクラだ、と我愛羅の直感が囁いた。
おそるおそる後ろを振り仰げば、巨大な茶釜がそびえ立っている。
幾重にも鎖が巻かれているその釜の奥底から、昔からずっと我愛羅を苛ませてきた存在が、劈くような声をあげた。
「てめぇら…誰の許しで此処に入り込んだんだァ!!??」
眼の下の隈が取れない原因であり、我愛羅を不眠症に至らしめている獣。
茶釜の中央に貼られた『封』の紙を目にして、我愛羅は己の背後に立ちはだかるその者が何なのか思い当った。
「お前は……俺の中にいる…」
「…―――守鶴」
我愛羅の言葉尻を捕らえて、金色の誰かが正確な名を告げる。
名前を呼ばれて、苛立たしげに己の巨躯を怒りに震わせた存在は…―――『守鶴』。
我愛羅の体内に封じられた一尾であった。
薄暗い洞窟。
再び奇岩で出入り口を閉められた為に、内部は薄暗い。しかしながら、その奥は光すら射し込まぬ闇が広がっている。
意外に深い洞窟の奥を、デイダラは眼を細めて見やった。
先ほど引き渡した我愛羅を、洞窟の奥に連れて行ったナルトの背中を追うように。
ナルトに何事か頼んだペインの姿はもう無い。ナルトの邪魔はするな、との一言を残し、消えてしまった。
事前に聞いた話だと、尾獣を人柱力から引き抜く儀式をするにあたってナルト
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