【ただひたすらに偲ぶ】
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うのがあって、私はネジ兄さんと闘う事になったの。ネジ兄さんはその時、弱い私に気を使ってくれて何度も棄権……自分から負けを認める事を勧めてくれたのに、私は……ネジ兄さんに敵うはずないと判ってて、気になる男の子の見てる前でかっこ悪い所を見せたくないって自分勝手になって、ネジ兄さんを怒らせるような無神経な事を言ってしまって──結局、私は予選敗退したの」
「そのあと、どうしたの……? おじさんと仲直り、できた?」
「そうね……ある時から和解……つまり、仲直り……出来て、ネジ兄さんは──私の父からお父上の死の真相を知らされたらしくて、『父の死はあなたのせいじゃない』って言ってくれたんだけど……私はずっと、責任を感じているの」
「どうして? ネジおじさんは、許してくれたんでしょ?」
「そのネジ兄さんも私が……死なせてしまったから」
ヒナタはネジの墓に手を添えたまま、涙をぐっと堪える。
「でもネジおじさんは、お母さんとお父さんを命をかけて守ってくれたって──」
「そう言えば聴こえはいいかもしれない……けど、綺麗事では済まされないの」
ほとんど自分に言い聴かせるように述べるヒナタ。
「ねぇお母さん……そんなに自分を責めないで? おじさんだって、きっとそう思ってると思う……」
ヒマワリが涙声になっているのに気づき、ヒナタはハッとなって振り返り、自分の代わりにはらはらと涙を流している娘をぎゅっと抱きしめる。
「ごめんなさいヒマワリ……結局うまく、伝えられてないね……。でもボルトとヒマワリにはちゃんと知っておいてもらいたいの。ボルトにはね……日向家に昔あった“呪印制度”の事はもう伝えてあるの。それによってネジ兄さんが苦しんできた事実も……。また今度、話すわね。あなたの心の準備もなしに急に話し始めてしまって、ごめんね」
「ううん……大丈夫だよ。わたし、おじさんのこと、もっと知りたいもん。とっても強くて優しい、ネジおじさんのこと」
「ヒマワリ……」
「──お母さん、“じゅうけん”……教えて。わたし、半分“びゃくがん”みたいなんでしょ?」
「ええ、そうみたいだけど……今の所とても怒った時にしか白眼にならないわね」
「お父さん言ってたよ、わたしネジおじさんみたいにきっと天才だって。だから……使いこなせるようになってみたいの。ネジおじさんみたいに、強くなりたい!」
ヒマワリはひたむきな眼差しを母親のヒナタに向ける。
「──判った、私のネジ兄さん持込みの柔拳を、ヒマワリに教えてあげる。きっとヒマワリなら私を軽く超えて……ネジ兄さんみたいに日向の才に愛された子になるわ」
「うん! ……おじさん、見ててね。わたし、ネジおじさんの分まで強くなってみせるよ」
ヒマワリ
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