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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 11
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「春虎、あなた星読みができるようになったの!?」
「んん? そっちの世界のおれは星読みができないのか。できるぜ、星読み。自慢じゃないが日本で十指に入る星の読み手だと評価されている。卜占のたぐいは父親からみっちり仕込まれたからな」
「なんと!」
「すごいのね、こっちの春虎って優等生じゃない」
「ああ、あの占事略決も周易も読めなかった春虎が……」
「式盤の見かたもわからなかった春虎がねぇ……」
「おいおい、そっちの世界のおれはひょっとして劣等生てやつなのか?」
「劣等生……。さすおに的な意味で?」
「いや、普通の意味で」
「う〜ん、いや、そういうわけでもないけど……。霊力だけはバカ高いし」
「ええっと、実戦向きの努力の人って感じかしら。座学はからっきしだけど放課後によく対人呪術戦の訓練をしているわ」
「そうそう、俺たちもよく訓練につき合うが、そっちの筋は悪くないと思うぞ」
「なんかパッとしなさそうだなぁ……」
「それはそうと卜占を教授した父親というのは陰陽医の鷹寛さんか?」
「いや、おれの父は泰純という」

 泰純。土御門家現宗主である土御門泰純のことだろう、彼は夏目の父でもある。そして名うての星詠みだ。

「え? じゃあ夏目君は春虎の――」
「……夏目は、夏目はおれの双子の妹だ」
「ええっ!?」
「そして、夜光の生まれ変わりだった」
「…………」
「さっきも言ったが、この世界とよく似たべつの世界から男女の稀人が来る。彼らはむこうの世界ではおれたちの親しい友人で、力になってくれると、星が教えてくれたんだ」
「稀人、か。とうとう神様になっちまったなぁ」

 まれびと。稀人や客人とも書く。
 民俗学者である折口信夫が確立したとされる概念で、ここではないどこか。異界よりおとずれる霊的存在。ただしく歓待すれば富や恵みをもたらすが、あつかいを誤れば災いをもたらすとされる。

「先ほどモスクで起きた神龍武士団と称する連中の狼藉はいまの日本の縮図といっていい。呪術(ちから)あるものが呪術(ちから)なきものを虐げ、支配する。ディストピアだ。まずはおれたちの国がどうしてこうなってしまったのか、そこから説明したい。かなり長くなるし、横道にそれたりすると思うから、茶でも飲みながら話すぜ。なんなら食事も出せるが、どうする?」
「ありがたくちょうだいしよう」
「ええ、なにしろあたしたち稀人だものね。きちんとおもてなしされるのがすじってものだわ」

 デイドリーム枕くんによる夢世界の中では食べても食べても太るということがない。さらに排泄することもない。美味しいものをいくらでも口にすることができるという、まこと都合よく設定されていた。

急々如律令(オーダー)

 春虎が命じると、どこからともかく椅子や机。続
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