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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 11
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人の誘いを断る理由もない。秋芳たちは冬児と共に行くことにした。
騒動のあったモスク、東京ラーハのすぐ近くにある飲食店へと案内される。
看板には『渋谷清真飯店』と書かれていた。清真とはイスラム教のことで、この店は日本で暮らすムスリムのために豚肉や酒類で下ごしらえをしないなど、ハラールを守った食事が食べられる店のようだ。
店内に入った冬児が店主らしき人物に目くばせをすると、奥へと通された。外観から想像していたよりも中は広く、清潔だ。店内は西域風の落ち着いた内装で、そこかしこに美しい幾何学柄のタペストリーやカーペットが敷かれていた。
「まぁ、綺麗!」
「イスラム模様ってやつだな」
壁面を煌びやかに彩る異国情緒たっぷりの意匠に目を瞠る。イスラム教圏では偶像崇拝が禁止されているので、人物や動物を描くことはタブーとされている。そこでイスラム模様と呼ばれる独特のデザインが生み出され、発展してきた。
様々な形が複雑に組み合わさり、計算された美を生み出している。それは神が創造した完璧で永遠に広がる宇宙・世界を表すものであり、仏教の曼荼羅に近い要素を感じさせた。
「あら? ねぇ、これって……」
京子が目を細めて壁面の一部を指差す。言われた秋芳も注意深くその部分を視る。
複雑な模様にまぎれて見知った紋様を見つけた。
六道迷符印。人を遠ざける効果のある呪印だ。
「ほう、よく見つけたな。呪力の波動を感知できないよう穏形してあるんだが」
「それにくわえて視覚的にも完璧なカモフラージュされている、というわけだ」
こんな所に印されていては、イスラム模様にまぎれて言われなければ発見できないことだろう。それを感知できたのは万物の気の流れを見通す如来眼を持つ京子だからこその芸当だ。
「イフタフ・ヤー・シムシム」
コマンド・ワードに反応して壁が横にずれると、そこにはエレベーターがあった。
「まるで『キングスマン』に出てきた仕立て屋だな」
「ああ、その映画なら知ってるぜ。だが俺たちは王に仕える円卓の騎士ではなくシャーウッドの森に集う義賊だ」
エレベーターは音も立てずに降下し、地下へと出る。
陰陽塾の塾舎ビルの地下には実技の講義で使用される広いスペース、呪練場が存在する。ここはそれとおなじような造りをしており、なおかつそれ以上に広大だった。
アリーナの中央に立っていた黒衣の青年が声をかけてきた。
「はじめまして、土御門春虎だ」
土御門春虎。そう、たしかに春虎だ。ただし冬児と同様、その外見は秋芳と京子の知っている春虎よりも何歳か上に見えた。
「異なる宇宙より見知らぬ友人が
稀人
(
まれびと
)
として来訪する……。君たちふたりが来ることは星を読んで知っていた
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