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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
辺境異聞 5
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「アンデッドの叩き売り状態だな。SAN値がぐんぐん減っちまいそうだぜ、まったく!」
「自慢の見鬼とやらはどうした、陰陽師。こういうのを察知できるんじゃなかったのか?」
「こうも陰の気まみれの場所で、個々の幽鬼の気配なぞわかるか!」

 にじり寄ってきたグールを蹴り飛ばし、飛来する頭蓋骨に刀印を切る。もといた世界であればその一撃で修祓できたのだが、やはり異世界では勝手がちがう。退かせるだけにとどまる。
 
「なんだ、思ったより使えないな。見鬼とやらも」
「そんなことより【セイント・ファイア】は使えるか? この手の連中には一番効果があるだろう」

 【セイント・ファイア】。
 【ピュアリファイ・ライト】の上位呪文で、広範囲におよぶ浄化の炎によって悪霊や屍鬼たちを節理の環へと回帰させる高等浄化呪文。

「……《地獄に堕ちろ》」

 セリカの唱えた言葉に反応し、黒く輝く魔力の線が縦横無尽に奔り六芒星法陣を瞬時に形成。
闇よりもなお昏く、夜よりもなお深い深淵色が世界を染めて、霊的な奈落が出現した。
 召喚儀【ゲヘナ・ゲート】。
 現世に縁なき霊的存在を問答無用で虚無の奈落へと引きずり堕とす外法。それがあたえるのは魂の救済ではなく、節理の円環からの排斥。
 すなわち、永劫の無。

「――――ッ!?!?」

 アンデッドたちは二度目の断末魔をあげることなく、この世界、いや宇宙から永遠に抹消された。

「…………」
「どうした、イボイノシシにキンタマを舐められたような顔をしているぞ」
「どういう例えだ! ……今の呪文、たしか亡者らを問答無用で消滅させるやつだったよな」
「そうだ。まさかおまえ、無慈悲だのかわいそうだのと言い出すんじゃないだろうな」
「まさか。 悪意や害意を持った相手が攻撃してきたら、遠慮なく反撃してもいい。まして殺る気満々な相手に慈悲をかける必要なんてない。こいつらだって好きで悪霊になったわけじゃないが、襲ってきたからには反撃しなければならないし、どんなに実力に差があったとしても命を奪いにくる相手に手加減は無用だ」
「ふんふん、なにも問題ないじゃないか。それなのになんでホシバナモグラに尻の穴を嗅がれたような顔をするんだ」
「だからどういう例えだよ、それ! ……いやなに、なんかひとりでゲームバランスくずしてる人がいるなー、と思っただけだ」
「バカバカしい、おまえが私のレベルについてこられないだけだろ。精進しろ」



 悪霊たちを一掃したあと、礼拝堂をひととおり調べたが、めぼしい発見はなかった。
もと来た道を戻り、右側の通路を進む。
 突き当たりの左右に扉があり、どちらも施錠されていた。

「こっちの扉には罠が仕掛けられているな。不用意に開けると中からクロスボウの矢が飛んで
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