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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
第16話 傷心の陸軍長官を慰めるつもりが…… Ev05
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「……ん?」

陸海統合軍制改革の定例会議が始まる前だが険悪な雰囲気が漂っていることに気付く。
少し離れた場所で陸軍の提督たちが利古里ちゃんを取り囲み口論している姿が見えた。

「独断専行した挙句に我が陸軍に多大な被害を与える。呆れたものだ……」

「まったくだ。どれだけ海軍に遅れを取れば気が済む。やる気があるのか?」

「我が陸軍が情けなく見られているのも全て貴様のせいだ」

「これ以上、山下元帥の顔に泥を塗るつもりなら、長官などやめてしまえ!」

日本海軍では「階級が一つ違えば神様と奴隷」だと昔は言われていたが陸軍は違うのだろうか?
まあ最近知ったんだが利古里ちゃんは陸軍中将なんだよね。

これにも原作ゲームで描写されなかった深いわけがある。
四大長官は先代までは推薦によって選ばれた人物を帝が選任するだけであったが、
現在の帝となってからは推薦は完全に無視され、殆どの長官は帝の一存で選ばれている。
猫平内務長官と宇垣外務長官は帝国議会からの推薦という形式をとっているが、
東郷海軍長官、山下陸軍長官は帝が殆ど独断で選んだ人選なのだ。

利古里ちゃんが陸軍長官に選ばれた時の階級は陸軍少将。
そうなると中将・大将の反発が強いのは当たり前で、
祖父である山下元帥も突き上げをくらって禊として年齢を理由に軍から身を引くことになった。

周囲が敵ばかりの環境の中で少しでも実績を上げようと無理を重ねて頑張っていたのだと知ったときは、
今までの海軍に対する普段の厳しい言葉遣いと、
お見合いしたときの差に感じていた違和感の謎が解けて妙に納得した。

「な、なんだ? 文句あるのか?」

敬愛する祖父の名を持ち出されて険しく眼孔を光らせた利古里ちゃんに陸軍士官がうろたえる。
親の七光りを嫌ってはいるが、利古里ちゃんは祖父に憧れて陸軍に入ったのだと知っている。家族思いなのだ。

「……いえ。先輩方の仰る通りです。返す言葉もありません。
 ですから、今の私にできることは戦場で戦果を上げ陸軍の汚名を晴らすのみです」

う〜〜ん。軍長官に求められるものって戦場での働き“だけ”じゃないんだけどな……。
この日本帝国で陸海の長官職は軍令と軍政の両方を担う存在だ。

軍政は軍の全体を掌握してコントロールできる機関のことで、よく制服組とか言われてる組織。
軍令の方が、より現場に近い機関というか、軍政で定められた目標を達成するための計画を立て指揮する組織。

海軍は軍令部で戦争の方向性を決めているような印象を受けるかもしれないけど、
それは軍令部総長の僕が特例で政治的意思決定の場である御前会議に参加しているからだ。

本来であれば海軍長官が指示した方針に疑問など持たずに作戦を計画し遂行す
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