第百三十二話 残暑に入ってきてその四
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「利用しているだけの人はすぐに切り捨てます」
「何かとですね」
「期待していないとか言って」
「どう期待していないかですね」
「人としての期待ではなく」
「道具ですよね」
「そのうえでの期待です」
駒、それとしてだ。
「駒として自分の役に立たない」
「だから期待しないんですね」
「そうです」
まさにとだ、裕子さんも僕に答えた。
「自分の利益にならないから」
「そういう先生って本当にいますからね」
「ですから簡単に切り捨てて」
「育てることもですね」
「実はしないです」
やたら怒鳴って罵って酷い場合は暴力まで振るってもだ。
「ただの自分の駒です」
「名前を上げたり出世の為の」
「そうした先生のところにはいたくありません」
裕子さんはきっぱりと言った、言い切ったと言ってもいい。
「絶対に」
「そうですよね」
「はい、本当に」
「歌を歌えてもですね」
「そうした先生からは教わることはありません」
これまたきっぱりと言った。
「歌も他の場所で出来ます」
「それで、ですね」
「そんな先生からは何も教わることがないので」
「行かないですか」
「そうした部活なら入部しましても」
例えだ、そうされてもとだ。裕子さんは強い声で言った。
「辞めます」
「退部されますか」
「はい、いてもいいことはないので」
教わることも何一つとしてないからだというのだ。
「かえって危害が及ぶかも知れません」
「その可能性もありますか」
「若し生徒を訳もなく怒る先生や酷く罵る先生なら」
言葉の暴力でもというのだ。
「その先生の下にはいない方がいいです」
「そうしたものですか」
「はい、自分がそうされなくても」
「それでもですね」
「自分がそうされてからでは遅いです」
それが暴力なら尚更だろうとだ、僕は裕子さんの話を聞いていて思った。何しろ学校の先生という職業は日本で数少ない暴力を振るっても処罰されることが少ない、若しくは振るっても軽い処罰で済まされる職業だからだ。
「ですから」
「入部されてもですか」
「退部していました、ですが」
「うちの歌劇部はですね」
「とてもいい部活なので」
「今もですか」
「楽しく活動させてもらっています」
そうだとだ、裕子さんは僕に笑顔で話してくれた。
「今もです」
「そうですか」
「あとこの学園は夏も三年生が部活をしていますね」
「十二月までしてます」
それぞれの大会が終わってもだ。
「そうしています」
「十二月までですか」
「はい、殆ど全部の部活が」
体育会系も文化系もどちらもだ。
「そうしています」
「そうなのですね」
「進学するしないに関わらず」
「進学は大抵の人が八条大学に行かれますね」
「はい、本当
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