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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第645話】
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といえば世界初の男子操縦者である有坂ヒルトとその双子の妹である有坂美冬、義理の妹である有坂美春しかいないのだが――。
情報が少ない中での思案も意味がないと思い、これ以上は考えないようにした。
「それで、用事はそれだけなのかしら……?」
「いえ、勿論それだけではありません。 先日我が国もやっと第三世代型のIS【ドゥルガー・シン】が完成したのは知ってるわね?」
「えぇ」
ヴィシュヌは小さく返事をする――来年にはモンド・グロッソが開催されるのだ、初参加国としてはやはりタイの技術力と操縦者の能力の高さを示したい。
今現在タイに国家代表はいない――新機体であるドゥルガー・シンのパイロットも実力の高いヴィシュヌが運用するように設計されている。
「本年度のIS学園転入は【イレギュラー】がない限りは有り得ないと言われましたが、来年度の転入生枠には貴女が入れる様に申請を出しておいたわ」
「そうですか」
言葉短くそう告げるヴィシュヌ、元々無口な性格だから不必要な事は言わないのだろう。
「ええ、後の要件としてドゥルガー・シンの起動、及び稼働テストが前倒しになって明日行われる事になったから」
「わかりました。 時間は?」
「朝九時からよ。 それまではゆっくりしていて構わないわ」
そう言うと女性は部屋を去った。
ヴィシュヌはまた瞼を閉じ、マットの上でヨガを始める……。
太陽系の外から飛来する巨大隕石――イルミナーティの衛星が僅かに検出したエネルギー波長、その一瞬を捉えたのは偶然か必然か――。
「グルルル……」
星が瞬く漆黒の宇宙を旅する隕石表面から聞こえた異形の鳴き声――人類が未確認生物との接触がもたらす結果は――まだ誰も知らない。
軌道衛星上に浮かぶエクスカリバー――もしこれがこれから先暴走しなければ、未曾有の事態も避けられたかもしれない。
だがそうなるとエクスカリバーに囚われた少女は永遠にコアとして生きなければならなかったかもしれない。
運命とは残酷なものだろう……時は常に刻み続け、歯車は回り始める。
白騎士暴走事件ともう一つニュースになったのは三人目の男子IS操縦者が見つかったことだろう。
笹川成樹――中性的な顔立ちに髪はポニーテールで結ってる為、彼は時折男にナンパされるのが悩みの種だ。
ヒルトほど高くはないが身長もあるため、本気で女装すれば女子に見える。
そんな彼は今、転入の為とISに関する勉強を何とかこなしてはいるのだがやはり分厚すぎる教材が重荷になってるのか捗らない。
「この時期の転入……。 もっと早く触っていたらヒルトと共に僕も肩を並べられたのかな……」
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