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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
辺境異聞 4
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アリファイ・ライト】でもぶちかましてやるか」

 【ピュアリファイ・ライト】。屍鬼や悪霊などへの対抗手段として考案された祓魔の浄化呪文。術者を中心とした光を生み出し、対象を祓い清める。

「優雅でない真似はやめろ。……まてよ、この城にはまだ俺たちの知らない人物が潜んでいるかもしれない」
「そいつが黒幕の吸血鬼だとでも?」
「まだ吸血鬼だと決まったわけではないが」
「おいおい、なにを言ってるんだ。首筋にふたつの穴が開いた血のない死体が出てきたんだぞ。今回のお話は吸血鬼ものに決まっているだろ」
「いや、まあ、たしかにお約束だが……」

 雷光がほとばしり、雷鳴が轟く。
 小降りになっていた雨がまた強く降り出した。大粒の雨が温室の壁を叩く。

「とりあえず、今夜はもう休もう」
「夜中にフーラの姿をした者が訪ねてきたら気をつけろよ。ドアを開けた瞬間に首筋にガブリ、なんてことになるかもしれないからな」
「吸血鬼は住人に招かれないと家に入れない。だったな。ん? ここは吸血鬼の家だから関係ないか」

 秋芳とセリカは自分の部屋に戻り、それぞれの褥についた。





 銃砲が大地を穿ち、槍や斧が肉を断ち骨を砕く。
 攻性魔術が唱えられるたびに火球が炸裂し、稲妻が走り、冷気が渦を巻き、死と破壊を撒き散らす。
 血と硝煙、鉄と火の臭いに満ちていた。
 戦いだ。
 戦いの中にいる。
 聖エリサレス教会の聖印を身につけたレザリア王国の兵士たちが倒しても倒しても、雲霞の如く押し寄せてくる。
 これは、夢だ。
 夢を観ている。
 厭な夢だった。どうも自分はアルザーノ帝国の将軍らしい。

(もっと楽しい夢を観たいな……)

 ぼんやりと考える秋芳の思いを無視して、殺戮の夢はしばらく続いた。

 場面が変わった。
 どこかの山の中腹だろうか、目の前に聖エリサレス教の聖堂があり、そこに押し込められた人々の怨嗟の声が聞こえてくる。
 やがて油がまかれ、火がつけられた。
 怨嗟の声は悲鳴と怒号に変わり、やがて赤い炎と黒い煙が人々の声を完全に掻き消す。
 それを見上げて満足げな表情を浮かべるヨーグの姿があった。
 さらに、場面が変わる。
 薄暗い部屋で目を閉じたまま寝かされている。
 身体は金縛りにあったようにまったく動かない。
 目を閉じているにも関わらず、なぜか周りの光景が見てとれた。
 エリサレス教会の聖印が見えた。ここは先ほどとは別の聖堂のようだ。
 そのうち不気味な人影が近づいてくる。
 人影が手にしたナイフを心臓めがけて降り下ろし――血のしたたる心臓がえぐり出され、壇上に置かれた聖杯にその血が注がれた。そしてその血を口にした者がいる。
 ヨーグだ。

 目が覚めた。
 ベッドの横に
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