辺境異聞 4
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ば、そうでない者もいる。
知的生物の血を吸わなければ死んでしまう者もいれば、飢えや渇きにさいなまれることはあっても死なない者もいる。
「やつらは個体差が大きいんだ。他に特徴といえば――」
赤く光る眼には恐怖と魅了の魔力があり、狼や蝙蝠や鼠、霧に姿を変えることができる。
人並み外れた怪力と敏捷力、極めて高い魔力と治癒力。
心臓に杭を打ち込まれない限り、一度死亡しても復活し続ける。その再生能力は凄まじく、燃やし尽くして灰にしても、したたり落ちた一滴の血からよみがえることもある。
「――といった特殊能力を持つ。また吸血鬼は血を吸いつくした獲物を、おのれの一族にくわえることがあり――」
相手の血を吸い尽くしてから自分の血を与える儀式を行う。
この際に一度で血を吸い尽くせばスレイブ・ヴァンパイアと呼ばれる干からびた怪物になる。スレイブは下僕としてしかあつかわれず、意識をなくし知力が極端に低下する代わりに体力と生命力が高まり、並のゾンビやスケルトンよりは手ごわいアンデッド・モンスターだ。
二度ならば姿はそのままで記憶をなくしたレッサー・ヴァンパイアとなる。意識を持ち知力はそのままだが、血をすすった主人の奴隷となる。レッサーは魅了や変身などの特殊能力は持たないが、怪力や再生能力は吸血鬼と変わりはない。
三度なら姿にくわえても記憶も知力もそのままに、性格だけが邪悪となった吸血鬼となる。この場合、血を分け与えた吸血鬼から対等のパートナーとしてあつかわれる。
「なるほどな〜。で、リッチのほうは?」
「禁断の魔術の果てに死にぞこない(アンデッド)と化した出来損ないの不老不死。生者から精気を吸わないと自分の身体を維持することもできない、醜く生き汚い無様な化け物。以上」
「なんか、吸血鬼の説明とくらべてぞんざいじゃね?」
「これがやつらのすべてだ」
「…………」
どうもセリカはリッチという存在が嫌いらしい。先入観ありきの説明を聞くのもなんなので、秋芳はリッチに関してはセリカからそれ以上のことを聞かないことにした。
必要なことは他者の言葉ではなく、自分自身の目と耳で調べるのが一番だ。
「まぁ、リッチについてはもういい。リッチと吸血鬼の差異はなんだ?」
「リッチが純粋な魔術によって不死性を得たのに対し、吸血鬼は魔術的な措置の他に悪魔や邪神の加護を得て不死と化すんだ」
「なるほどな〜」
「……この城の主は、いやこの城の住人すべて吸血鬼かもしれない」
「う〜ん、だが一応みんな『人の気』をしているんだよなぁ」
「気? ああ、そういえばおまえはそういうのがわかるんだったな」
「陰の気、負の生命力は感じられない。ただ、みんな妙に弱々しい気なのが面妖だが」
「かたっぱしから【ピュ
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