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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 10
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「好きな人の過去に興味はあるけど、むかしの女関係に嫉妬するようなことはしないわよ、あたし。あとそういうお店の人とそういうことしても、べつに浮気じゃないし怒らないわ」
「そうとも、ああいうのは浮気なんかじゃない」
「本気にならないならいいわよ」
「本気になんかならないさ、たんなる遊びだ」
「悋気は女の謹むところ、殿方の女遊びにいちいち目くじらを立てるものではない。て、お祖母様が言っていたわ」
「さすが倉橋塾長は話がわかるな」
「あたしもおおむね同意」
「そうか。だが繰り返すが俺はもうその手と遊びとは無縁だからな、ほんとうだぞ!」
「べつにいいのよ、いまでも行っても」
「なぬ!? いいのか?」
「ええ、いいわよ。あたしをふくめて、他の人にもまったく、全然、ばれるようなことがなければね」
「いやぁ、なかなかどうして本妻にふさわしい度量じゃないか」
「…………」

 男性の女遊び・風俗通いに対する女性の許容は人それぞれだ。
 ある人は行ってもかまわないけど、わからないようにして。と言うし、別の人は行くことすらゆるされない。行って当然、素人の女を相手にするよりはよっぽどマシ。という女性まで、さまざまだ。
 どうも倉橋家の女性は男の女遊びに対して理解をしめしているように思えたのだが――。

「ただしばれた場合はお仕置きよ、こんなふうに――。焼けつく風よ、血肉を蝕み錆と化せ。急急如律令(オーダー)

 京子が中空に文字を書くように指をなぞらせ詠唱をおこなうと結界内の空気が変質し、わずかだが鼻をつくような異臭が混ざる。

「京子、おまえなにを……」
「あたしからの個人的ミッション。結界内の空気がすべて毒になる前にそいつをたおす」

 そう言うとふたたびけが人の介抱にまわる京子。

「お、おいっ。やっぱり怒ってない? 俺が過去にした女遊びのこと気にしてない?」

 気分を害したのは過去の女性遍歴ではなく、いまでもそれ系の店に未練があることをしめした態度なのだが気がつかない。

「おいこらきさまぁっ! くだらん痴話喧嘩に巻き込むなっ」
「うるさい、とっとと眠れ!」

 秋芳は一気に距離をつめて地州の喉に貫手を打ち込んだ。呪文の詠唱や集中するいとまをあたえず、肉弾戦に持ちこんで倒す。
 対呪術者戦における秋芳の常套手段だ。
 だが放った貫手は寸前でガードされた。
 間髪を入れずに突きや蹴りの連激をくり出すも、これらも手足で受け止められ、まともに当たらない。
 地州という男、呪術だけでなく格闘の心得もあるようで、そのまま素手で反撃をしてきた。
打つ、突く、蹴る、投げる、崩す、極める、締める、固める、組み伏せる、挫く、受ける、避ける、捌く――。
 拳と拳、脚と脚、身体と身体がぶつかり合う目まぐるしい素手
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