暁 〜小説投稿サイト〜
シークレットガーデン〜小さな箱庭〜
遺体のない葬儀編-4-
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壁にもたれかかり、興味津々といった風に話を聞いている、リア。

「ふーん……そうか」

それとは裏腹に、先ほど読んでいた本を開きまた読書を始めている、リオン。
聞いていないように見えるがちゃんと相槌(あいづち)をうっているあたり、聞いてはいるようだ。

「妹さんが病気って言ってたけどどんな病気なんだい?」

リアの質問にルシアは答える。

「闇病と呼ばれている病気です」
「なんだって!?」

病名を聞いた瞬間、二人と一匹の表情が変わった。まるで先ほどリアが女性ではなく、女装が趣味の男性だと聞いた時のルシア達の如く驚きようだ。

だが彼らはルシア達とは違い大人だ。一瞬で驚いていた表情は真剣な真顔へと変わる。情報を理解し整理するのも早い。

「闇病が発病したのは何時の事?」
「五歳のときです」
「今は何歳?」
「八歳です」

リアからの質問に淡々と答えてゆくルシア。
質問に答えれば答える程、リアの表情は険しいものへとなってゆく。

「進行がかなりゆっくりだな」

本を読んでいたリオンが顔を上げ後ろにいるリアの方を見る。

「そうだな。普通ならもう……」

言いかけた言葉をルシアを見て止めた。

「……もしかして穢れ化するまでの時間ですか?」

闇病にかかった者が最期に辿り着く先、穢れと呼ばれる化け物になること。
それをパピコから聞かされていたルシアはリア達に訊ねた。

「なんで穢れのことを知っているんだ! それは国家機密の情報だぞ」

だがそれは政府が巧みに隠ぺいした情報であったらしい。なんでそんな事を知っているのかとリオンから睨まれてしまった。
どう弁解するればいいのだろう。素直に正直に言えばいいのだろうか、だが心の世界の話など信じてもらえるのだろうか。

「あーいいって、いいって」

睨むリオンに後ろからリアが声をかけた。

「知ってるなら説明が省けてラクだし」
「楽ってお前な……」

呆れたのか、諦めたのか、リオンはまた大きな溜息をつくと、読んでいた本へと視線を戻した。

「あの……」

二人の言い争いが終わるの見計らってからルシアは切り出した。

「どうして二人は機密情報である闇病の穢れ化の事を知っているんですか」

ルシアはプリンセシナの案内人であるパピコから教わったから。
では二人はどうなのだろか。国家機密など普通に生きている街の人などに知る由などないと思われるのだが。

二人は顔を見合わせ、何かを確かめ合い頷くと

「俺は断罪者(だんざいしゃ)の一族の末裔なんだよ」
「断罪者?」

断罪者、一族、末裔、聞きなれない単語に首を傾げる。
説明すんのめんどくさいなーと頭を掻きながらリアは断罪者について教えてくれた。

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