辺境異聞 3
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の捜査しかできず、短い捜査時間ではフーラの出生に関するものは発見できなかった――。
「もうさ、【スリープ・サウンド】でふか〜く眠らせてる間にガサ入れしちゃわないか?」
「だからそういうのはやめなさいっての。まだ一日目だ、また明日にでも調査してみよう」
そのようにしてたがいに情報交換をした、その夜。秋芳は温室の中を覗いてみることにした。
フーラの依頼について調べるというよりかは、純粋にどのような薬草が栽培されているか、興味があったからだ。
マンドレイク、ナイトシェード、ベラドンナ、ロトス、オーキッド・ベル、フライ・アガリック――。
「薬と毒は表裏一体と言うが、またずいぶんと毒性のある草花ばかりだな」
特に多いのがベラドンナだった。美しくも毒々しい紫色の花が視界を埋める。
「…………」
秋芳の見鬼が厭な気配を察した。地面の下、そう深くない場所からかすかに陰気を感じる。
生命の発する陽の気ではない、死がまとう陰の気だ。
「《常世の風よ・還らざる者たちの・声なき声をとどけよ》」
死体探知魔術【ディテクト・コープス】。
帝都やフェジテ周辺は寒冷な気候のせいで死体が長持ちするいっぽう、冬場は雪のために死体の発見が困難になる。救助活動に従事する者には必須の魔術だ。
攻性魔術を重んじる学院では馴染みのない魔術だが、秋芳はあえてこの地味な魔術を習得していた。
死者の放つオーラが見えた。
地面の下に無数の死体が埋まっている。
この温室の草花は人の骸を養分に育てられているのだ。
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