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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
辺境異聞 3
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こしている間、セリカとて惰眠を貪っているわけではない。セリカはセリカで情報収集をしていた。
 私は足で情報を稼ぐ。
 そう決めて調査と称して城内をくまなく歩きまわった。
 四階にある倉庫。
 鍵がかけられている。それも【ロック】が、魔術による施錠だ。

「《開け》」

 ヨーグや召し使いたちに見つからなければどこでもご自由に、というフーラの許可は得てある。
 彼女に言って鍵をもらってもよかったのだが、セリカは伝える手間をはぶいて【アン・ロック】で扉を開けた。
 魔術師の基礎教養として多少の鑑定眼はある。まして地下迷宮の調査を日課とするセリカは普通の魔術師よりも目利きである。
 高価な美術品が並ぶなか、丹念に捜すとボルツェル一族の肖像画を発見した。
 赤ん坊の頃のフーラとソティー、ヘルギの絵もある。
 ソティーは三〇代前半、ヘルギは二〇歳前くらいに見えた。
 また壁にかけられた絵の中にはヨーグによく似た若い男性の絵もあった。

「お姉さんとはいくつ歳が離れてるんだい?」
「……一四歳ほどです」
「ふうん、よく似ているねぇ。それにお母さんはずいぶんと若い時分にお姉さんを産んだんだね」
「はい。歳は離れていますが、姉とわたしは双子のように生き写しだったそうです」
「あのヨーグ辺境伯にそっくりな男の人は?」
「ああ、その人は伯父のウンキです。父の兄にあたりますが、わたしが生まれた頃に事故で亡くなられたとか……」

 セリカは上から下まで城内を見てまわった。
 照明が極端に抑えられた城内は全体的に薄暗く、影も見えないほどで窓の外はいまだに嵐でなお暗い。
 城の住人は全体的に少食でヨーグは朝が遅いということで朝食には顔を出さないということをメイドから聞けた。
 彼が部屋から出るのは昼と夜の食事の時だけで、それを済ませるとすぐに自室にもどるそうだ。
 そのメイドをはじめ召し使いたちはヨーグに完全に服従し、個性も自我も持たないように見える。
 四階には倉庫のほかに使われていない礼拝堂といくつかの空き部屋やテラス。
 三階にはヨーグの私室と図書室。
 二階にはフーラの私室といくつもの客室、談話室。
 一階には玄関、ラウンジ、ホール、兵舎、食堂、厨房、召し使らの居住区。
 その召し使いたちが利用する食堂兼居間から地下室に降りられる。食糧庫、物置小屋、ワインセラー、もう長いこと使われていない地下牢がある。
 浴槽つきの化粧室が各私室と客室にある。
 見張り塔は高さにして六階まであり、屋上もあるが普段は使用されていない。
 などなど――。

「どうだ、すごいだろう!」
「ああ、すごい」
「いいか、見るのと観察するのは大きなちがいがある。私は各階段の段数までかぞえておぼえたんだからな」
「おお、そりゃすご
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