0234話『悲しみの海峡夜棲姫』
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から姉さまの声が聞こえてきたので返事をした後に、
「それじゃ行くわよ……時雨」
「うん。行こうか」
私達は気分もいい感じで出撃していった。
それから私達西村艦隊はまたきつい道中の敵を撃退していきながらもついに海峡夜棲姫と再度の戦いを挑むことになった。
「トオサナイッ…テ…イッテルノニ……。…………。シニタイ……ノォッ!」
そう叫ぶ海峡夜棲姫はやはりもう扶桑姉さまの姿をとっていた片割れがいなくなっていた。
それを少しだけ悲しく思いながらも、
「無理やりにでも通させてもらうわよ! 扶桑姉さま、それにみんな……いくわよ!! この旗艦山城に着いてきて!!」
「「「おう!」」」
戦闘が開始される。
「一式徹甲弾! てぇッ!!」
「僕も続くよ山城! はぁっ!!」
海峡夜棲姫の随伴艦を次々と落としていき、ついには海峡夜棲姫へと攻撃を当てられるようになって海峡夜棲姫は被弾して叫ぶ。
「クッ……マップタツニナリタイノォ!?」
そう言いながらも砲撃をしてくる。
真っ二つね……やっぱり私達の事をよく知っているようね。まるで自分の事のように……。
提督の言った通りにあの子はやはり私の負の側面なのかしらね……?
そんな今は気にしてはいられない事を考えながらもついには昼へと戦闘が移行する。
そして基地航空隊の活躍もあってかどんどんと被弾していく海峡夜棲姫。
被弾するたびに、
「ヤメテッテ……オネガイシテルノニィッ!」
何度も血を流しながらそう叫ぶ姿はまるで私を見ているようでやはり悲しくなってくる。
扶桑姉さまも失い孤軍奮闘しているように感じる私……それはとても悲しい事。
だけど、あの子とは違って私にはかけがえのない仲間がいる。
「みんな! 後少しよ! 踏ん張りなさい!!」
「山城も冷静にね……」
「はい、扶桑姉さま!」
昼になったからにはカットインを駆使しないと大打撃を与えられないから必然的に私と扶桑姉さまが攻撃の要になる。
それでも時雨達は諦めずに砲撃をやめないでいる。
「夜にくらべれば攻撃力はなくとも……それでも攻撃は通るんだから!」
「そうよ! みんなで乗り越えるのよ!」
「山雲! 一緒に行こう!」
「わかったわ〜。いくわよー!」
駆逐艦のみんなが頑張っているんだから旗艦の私が頑張らないでどうするのよ。
「山城……制空権は僕に任してよ。決めてきて!」
「わかったわ最上。これで……最後よ!! てぇっ!!」
私に最後の砲撃が海峡夜棲姫へと吸い込まれていく。そして、
「アァァッ!!」
とどめをさせたのだろう、海峡夜棲姫は艤装のあちこちから火を吹かせながらもゆっくりと沈み始めていた。
終わったのね……。
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